黑子

黒い子ども

甘ったるい臭い

煤、錆、ぽつん

直立した黒い子どもが

目の前に立っていた

何も言わず 何も表させず


ぽつん


ああ、ぽつんと目の前にいる

顔も見えない 服もない

全身真っ黒な、子ども


なにもわからない

怖いので声も出ない

じっと、お互いを見ている

次は何? と思う

なぜ、今、ここ、自分、何?


分が秒、秒が停止

そのうち 黒い子どもは消えた

臭いだけが鼻の中に残る

あれはなんだったのか 黒い子ども

何も言わない子ども ただただ子ども

黒くて何もわからない

なにもわからないのだ

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