忘れられたエアコン

隣の席に座るご婦人が

カラカラと笑いながら

笑える話をしていたので

聞き耳をたててみた


「夜ねえ、ついつい忘れちゃうのよ。暖房消すの。でもね、そういう日にかぎって安眠というか、すっきり朝おきられるのよ。電気代の無駄だと思って気をつけてはいるのよ? でも、忘れた時は忘れたで、よく眠れるから」


そんな話

聞きながら

まあ、乾燥に気をつけてればいいんじゃないんですかね

と思いつつ、たまぁに自分もやるので

歳は関係ないと安心した車内での話

カバンからホット紅茶花伝の缶を取り出して

マスクの下を上にずらして飲んだ

あったかいと

身にしみて

はあ、とため息、目を瞑り

背中にあたる陽光を感じながら

うたた寝をする


そんな

なんでもない日

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