第3話
縁野美姫の両親は、縁野が中学生になった頃離婚した。
もともと夫婦仲は良いとは言えなかったものの、父親の稼ぎが良かった為裕福な生活を送っていた縁野。その生活が一変した。
母親についていき、貧乏になってしまった彼女の中学時代はあまり良いものではなかった。在学していた学校の生徒達に噂が広がり、腫れ物のように扱われたからだ。転機が訪れたのは公立の高校に入学してから。
母親が再婚したのだ。
再婚相手が小さな会社の社長だったことで、また裕福な生活を送ることが出来るようになった。その時に縁野は思った。
『大切なのは頼れるパートナーを見つけることだ』
もちろん自分自身の努力も怠らない。
だが自分の努力だけでは足りない。保険を用意しておかなければ。それが頼れるパートナーを見つけることだと考えた。
いくら自分だけ頑張ったところで限界がある。その時に頼れる相手がいるのといないのとではその後にかなりの影響が出てくる。
大学に入学してすぐの頃は金持ちの男を狙って探してみた。金を持っている者は余裕が生まれ、心にゆとりが出来るため人格者が多いのではないかと考えたからだ。
だがそうではない事を縁野は身を持って知った。
大学生になってはじめて付き合った彼氏は、金持ちの裕福な家庭だったものの最悪だった。
最初は人柄が良さそうだと思っていた。性格は穏やかで縁野のために金を沢山使ってくれた。だが縁野自身は特に自分に金を使って欲しいわけではなく、普通に恋人として結婚を前提に付き合っていきたかっただけだった。
そのため自分の為にお金はあまり使わないで欲しいと頼んだところ、彼氏の態度は一変した。
何が不満なんだど激怒し、縁野に今までに聞いたこともないような暴言を吐き続けた。
それをきっかけに破局。気づけば交際期間は一ヵ月にも満たなかった。
そしてその経験を得て感じたことは、苦労をせず自分で稼いでもいない者は金があったとしても人格者とは限らないということだ。
そこでターゲットを『金持ち』ではなく、『将来性のある者』に変更することにした。
ただ将来性があるだけではなく、友達になってみてその人物の人となりを見極めてから。今度こそ失敗したくなかったからこその考えだ。
相原祐樹は見た目も好みで人づてに聞いた人柄の評判も良く、かなり勉強熱心で資格の取得もしているという、縁野にとってかなりの好物件だった。
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