カノジョと一緒に、従妹の相談に乗ってみる。
「久保先輩が、彼女を連れてきた……?」
「か、彼女かどうかは分かりませんが!! ……やけに親しそうな人でした」
「アリスちゃん、もしかして嫉妬してる?」
「し、してませんよ!?」
休憩時間となったアリスを待って、三人で昼食を摂れる場所を探す。
その道中でおかしな話を聞いた。アリス曰く、久保さんが綺麗な女性を連れてお化け屋敷にやってきた、とのこと。俺とこのはは、首を傾げながら顔を見合わせる。
対してアリスはどこか不機嫌そうに、腕を組みながら歩いていた。
これはアレだ。
完全に嫉妬、というやつだ。
「私は決して嫉妬なんてしていませんよ? ただ、私のことが好きだ好きだ、と言って迫ってきているくせに、他の女性を連れているのは不純なのでは、と!!」
「あはは……」
――やっぱり嫉妬だ。
俺は苦笑いしながら、ひとまず考え込む。
久保先輩がアリスに執心なのは、言うまでもないことだった。その上で、綺麗な女性を連れている、というのはどういうことか。
「同じ男性として、和真兄さんはどう思いますか?」
「なんで睨みながら訊くかなぁ……」
「睨んでません!」
「さいですか」
そこまで思考したタイミングで、アリスがこちらに問いを投げてきた。
俺はひとまず受け流しつつ、答えることにする。
「でも、とりあえずだけど。久保先輩がアリスを好きなのは間違いない、と思うよ? バイト中も、二人がきたときは鼻の下を伸ばし――もとい、見惚れてるし」
「そ、そうなのですか……!?」
「ラインで二言目には、アリスの話題を出すし」
「え……!?」
「なんだったら、俺との会話は八割がアリスのことだ」
「ええぇ……!?」
俺が事実をつらつらと並べると、従妹は真っ赤になってしまった。
顔を押さえて、小さく震えている。
「そんな先輩が、他の女性と付き合うとは思えないな。あ、それと――」
「もういいです、兄さん!! とりあえず分かりました!!」
「ん、そうか?」
俺が追加で証言しようとすると、少女は声を上げた。
悲鳴に近い。
「で、でも……。現に久保さんは……」
そして急速に落ち込んでしまった。
これは、本人に訊いても良いのだろうか。
俺から見ても、完全に両想いな気がしてならないのだが……。
「とりあえず、本人に訊いてみよう」
「え、いきなり――」
「もう電話かけた」
「えぇ!?」
俺はスマホを耳に当てながら、アリスと話す。
すると、繋がった。しかし――。
「はい~、久保です!」
「あれ、健太さんじゃないっすね?」
電話に出たのは、件の女性と思しき人。
ひとまず自己紹介すると、彼女は納得してこう言った。
「アタシの大切な健太が、お世話になってます!」――と。
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