第10話 血と話す

暗い。暗い空間。目の前は真っ暗で、本当に真っ暗で、何も見えない。

 周りを見渡す。周りも真っ暗だった。右も、左も。前も後ろも三百六十度全て。上と下合わせて十二万九千六百度全て、真っ暗だった。本当に、何も見えない。

 私が今、どこに立ってるのかすら分からない。本当に立っているのかも分からない。もしかしたら風を感じないだけで、私は今落ちているのかもしれないし、登っているのかもしれない。そんな、意味不明な空間に、私はいた。

 記憶はある。あの開き直り陰陽師の、溶砲にぶち当たりにいったとこの記憶までは。

 ……あぁ、私死んだの? ここ、三途の川みたいなとこ? にしては、暗くない? 明り、なくなくない? なんて、馬鹿なことを考えていたら。

「夜知、まだこっちに来ちゃ駄目よ」

 そんな声がした。

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