今日が発表のはず
「久しぶりね、これを開くのも」
もう夏近く、綿入りの羽織も風通しの良い麻の上着に変わった。アウロラは書類束の間から久しく開けていなかった書簡入れを取り出し、蓋を開ける。先だってユークレースの姫と交わした手紙はきちんと日付の順に重ねられ、紐でまとめられていた。
同じ頃、ユークレースの城内でも、ラピスが横笛を降ろして窓の外に目をやった。ずいぶん早い時間に顔を出すようになった太陽が、もう水平線からかなり離れたのを見上げつつ、深呼吸する。
「待ったけれど、もう少しかしら」
動きがあればクエルクスが呼ぶから、何も気にしないでと言っていた。しかしそうは言っても気になるものは気になる。
どちらも何かしら自国に関係するところがあれば報せがあるはずだと噂されている。したがっていまはもう、諸国の状況を見るだけとはいえ、やはり重大事なのだ。年に一度、この世界に変革を起こす行事とあっては、平常心でいられるはずもない——日中は別の仕事につきっきりになってしまうのだが。
「ああ、アウロラ、ここにいたか」
「お兄様」
開け放した書庫の扉を軽く叩いて、兄が入ってきた。そろそろ戴冠の儀であり、最近なおのこと忙しそうである。
「例の件にあまり気を揉まずにおくといい。むしろ楽しんで見守るとして、シレアは別のものも控えているから」
「ああ! あれは楽しみにしてるの。皆様のご協力に感謝ね」
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今日発表ですね! 十時か、十二時か、十八時か。これ書いている間に発表されていたりして。
カクヨムコン発表直前という、この機に及んではじまったシレア国(テハイザ含む)人気投票。一歩でもどこかに踏み込んだ方ならば参加可能。蜜柑桜に話しかけたことなんてないと言う方もどうぞ。どうぞご協力お願い申し上げます。
https://kakuyomu.jp/works/16816452218626600234/episodes/16816452220552164920
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