書きにくい文章と読みやすい文章
ここ数日、シレアは来年にない異様な大寒波に襲われている。シューザリーン王城でも城内の窓という窓を閉め、防寒のために窓の覆いを厚布に変え、暖炉にくべる薪を増やした。
早朝、廊下を歩いていると室内履きの先から冷えてくる。王女は肩掛けの合わせを引き寄せ、肩を縮こまらせた。吐いた息が白くなる。早く部屋に帰ろう、と足を早めると、廊下の先の角を曲がってきた人影があった。
「あらお兄様。お早いわね、鍛錬?」
「ああ。あと市内を回って、ついでに時計台の防雪の手配と、役所の宿直当番に雪下ろしの指示を。そちらも早いな」
「うーん、なかなかユークレースのお手紙が真面目なので、文章に悩んでいて」
すると廊下のもう片方から足音がし、カエルムがおや、と首を向ける。相手の方は手のひらに顔をうずめ、はぁぁと息を吐いた。
「爽やかな朝に似つかわしくないな。おはよう」
「早過ぎるんですよいつ寝てんですかあんた……今日こそ先に仕事済ましてやると思ったのに……あぁ姫様に連絡です。向こうはもう例の報告書は書き終えたそうです」
ロスは嫌そうに切り出したあと、一連の書類を王女に渡した。
「ええっどうしよう、私の方まだだわ。さらさら読める体裁は難しくて」
「昨年には文を書くにも比較的早くに済んだのだがな」
「勝手に動き回ってことを進める
「それに応じてくれる従者がいて助かるよ」
「馬鹿言わないでください、収拾つけるの一苦労なんです」
「二人がそう話し始めると止まらない時があるのも困りものね」
仲がよろしいこと、と言い置いて、王女は二人を廊下に残して自室へ急いだ。
***
カクヨムコンお疲れ様です。ちょこちょこ短編、読ませていただいております。今年は余裕がなくて他薦もあまりできておらず残念。
他の方のを見ていて学ぶのは、読みやすさ、だなあと思います。地の文と会話のバランス、言葉のリズム感、句読点の打ち方。いつも勉強します。
会話が多過ぎると小説っぽくないなぁと思うので、あまり長く連続しないようには心がけているのですが、塩梅が難しい。大体三つか四つで台詞は切るようにしておりますが。
句読点も、少なすぎても多すぎても読みにくい。時々言われるのは「音読で切るところに」ということです。なのでそうしてみますが、これも二度読みすると、黙読では多過ぎ、としょっちゅう感じます。
皆さんはどんな風に気をつけますか?
あとは文体ですね。私はどうしても、特に地の文であまり崩さないようにと気にし過ぎてるのかな? と思う時があります。
というのは他の方の作品を読んでいて読みやすいなあと感じるもののうち、一部には「適度に崩す」、口語調にするという文の特徴があるからです。
「〜なのだけれど」ではなく「〜なのだけど」、「〜のように」ではなく「みたいに」といった具合。
こういうところを物語の雰囲気とどう合致させられるか、が読みやすさの鍵なのでしょうかねえ。
自作長編、楽園の果実の方はえらく疲れました。シリアスですから。ここまでシリアスになっちゃったよ。書いてて楽しい、は前提であるとしてのどシリアス。それなりに神経使いました。途中でちょこちょこある、書きたい話までいく間がえらい時間かかった……。
昨年の『天空の標』みたいに王子と従者が頭の中で好き勝手話し続けてくれないし、ちびっこいのいないし。
『時の迷い路』みたいに好き勝手に動く破天荒王女いないし。放っておいても天然馬鹿ップルになっている馬鹿ップルいないし。
書きやすい文章=読みやすい文章 になるよう、たまに他の方の文も読んでみて、自作を何度も読み返しするのが大事なのでしょうね。
時の〜は一度大改稿しておりますが、何度読んでも文章を変えたいと思うところは出てきます。どれがベストか知れたものではないけれど、鍛錬しませう。
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