第4話ステータスアップの実

「おっ、ここは涼しいな……」


 木のドアを開けて中に入るとそこは薄暗く涼しかった。


「なんかワイン臭い?」


 中に入って行くと大量のワインが見つかった。


「ふーん、ラベルは……『ディアボロ』『バハムート』『リヴァイアサン』聞いたことがないワインだな?」


 元々ワインなんて祭りの時しか飲めない。飲めたとしても樽買いした3流品なのだ。ここにあるのは光を通さない瓶で1本ずつ丁寧に横たわっている。まず間違いなく高級品なのだろうが…………。


「酔うにしてもここを出てからにしないとな」


 俺は次々にワインをストックしていく。


・ディアボロワイン×500(超高級酒)

・バハムートワイン×500(超高級酒)

・リヴァイアサンワイン×500(超高級酒)


「よし、とりあえずここも回収したから次に行くか」


 ストックの画面を見るとここまでに回収してきた様々な物で一杯だ。

 レベルが上がった時にストック枠が775まで増えたようだが、既に半分は使っている。


「これだけあって食べ物が1個もないのはきついけど……」


 俺は食べ物を手に入れたら大量にストックしておこうと考えるのだった。





「おっ? あれは?」


 何度か階段を降りると広いフロアに到着した。

 天井はシャンデリアが飾られており、床にはレッドカーペットが敷かれている。


 舞踏会に使いそうなフロアだ。そしてその奥にこれまでよりも大きな扉があった。


「これはもしかすると……」


 俺は期待を込めると扉を押した。


「やっと……外に出られた」


 眩しい太陽の光が照らす。実に数日ぶりに陽を浴びた。


 外に出て少し離れてから振り返る。するとそこには……。


「なるほど、でかい城だな。ここが邪神の住み家だったのか」


 イルクーツ王国の城など比べ物にならない程巨大で、天に届くのではないかというぐらい高い。


 建物には窓があるのだが、俺が外に出るまでの間に窓がある部屋が見当たらなかったことから、途中で鍵がかかっていて入れなかった部屋へと繋がっていたのだろう。


「道理で移動に時間がかかるわけだ」


 恐らく中央に高くそびえ建つ建物の最上階にある部屋が邪神のいた場所なのだろう。そこからは他の建物へと繋がるように通路が伸びており、俺はそのうちの一つの建物から脱出したようだった。


 城から目を離して周囲を見渡す。城の周囲には高い壁があり、侵入者を寄せ付けないようにその存在を主張していた。


 俺はとっとと脱出するつもりでそちらに向かおうとしたのだが……。


「あそこにあるの木についているのって……」


 鉄柵に向かう道の両側に木が並んでいる。そしてそこには何かが実っているように見える。


「もしかすると食べ物じゃないか?」


 俺は鉄柵に向かうのをやめて木に近づいてみる。


「これは……果物であってる?」


 そこには金や銀に虹・赤や青や黄や緑など様々な色をした果物がなっていた。


「とりあえず食べてみるか」


 俺は金の果実の木に登ると1つもぎ取っては噛り付いた。


「う、美味すぎる。こんなに美味い果物初めて食べた」


 噛みしめると果物の甘さが口いっぱいに広がる。瑞々しいのでこれまで飲まず食わずだった喉が潤った。


 久しぶりの食べ物ということを差し引いてもこの果物は美味しかった。


「そうだ、ストックしてみるか」


 これはいったい何なのか気になった俺はそれをストックして説明を見る。


・金の果実×1(食べると全てのステータスが10増える)


「他も調べてみるか……」


 俺は他の木に登っては果物を採りストックしていく。


・銀の果実×1(食べると魔力が10増える)

・赤の果実×1(食べると体力が10増える)

・青の果実×1(食べると敏捷度が10増える)

・黄の果実×1(食べると筋力が10増える)

・緑の果実×1(食べると防御力が10増える)


「もしかするとステータスアップの実?」


 モンスターを倒したりダンジョンの宝箱から極まれに果物がドロップされることがあるらしい。それを食べると自分のステータスがほんの少し上昇する。


 滅多に手に入らないらしく見たことが無かったが、この説明をみると間違いなさそうだ。


「それにしては上昇するステータスが少しじゃないな」


 噂によるとステータスアップの実は増えても3程度。これは10増えると書かれている。明らかに異常だ。


「とりあえず採れるだけ採っていくか」


 食糧はいくらあっても困るもんじゃない。かなりの数の木があるが採っておくべきだろう。


「そう言えば虹の実がまだだっけ?」


 唯一残っていた虹の実を改めてストックすると。


・虹の実×1(食べると魅力が100増える)


「魅力? そんなステータス見たことがないな。とりあえず食べてみるか」


 食べてみたところ金の実よりも更に美味しかった。


「さてどうなったか?」


 俺はステータス画面を開くと。


 名 前:エルト

 称 号:街人・神殺し

 レベル:774

 体 力:1561

 魔 力:1561

 筋 力:1561

 敏捷度:1561

 防御力:1561

 魅 力:110 New


 スキル:農業Lv2

 ユニークスキル:ストック(444/775)


【ストック】

・イビルビーム×9998

・パーフェクトヒール×99999


「本当に増えてるな……」


 魅力なんてステータスは聞いたことがない。だが、増えて困るものでもないだろう。

 俺はそう考えると割り切り、それぞれの実を集めに行くのだった。



「とりあえずこれで収穫完了だな」


 木に登って採っていたので結構な時間が掛かった。だがその成果はあっただろう。


・金の果実×789(食べると全てのステータスが10増える)

・銀の果実×1104(食べると魔力が10増える)

・赤の果実×2400(食べると体力が10増える)

・青の果実×2397(食べると敏捷度が10増える)

・黄の果実×2405(食べると筋力が10増える)

・緑の果実×3002(食べると防御力が10増える)

・虹の果実×108(食べると魅力が100増える)


 食べる物を確保した俺は外にでることにするのだった。

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