復讐に取り憑かれた生贄の成長期

カランドウ

第1話 神に見放された国

 僕はリック、本国の為に生贄として捧げられた男だ。


 僕は今、深い深い穴の奥底に居る。


 と言うのも僕の国で信仰されるカジュール神様、その方は何故か年に一度捧げられる純粋な人間の心臓からパワーを吸ってその身技を信者に見せつけるそう。


 なんでも豊作の神様だそうで実際に生贄を捧げられたからと言って何か変化があるわけでも無いけど、まあ毎年捧げてるんだから常に活性化されてて変化が無いかも分からない。


 だから誰も神の存在を疑わない、いや、、、


 みんな分かってるんだと思う、神様なんて本当は居ないんだって。


 でも支えが必要なんだ、特に飢饉が激しい小国に生きる僕らみたいな奴は。


 だって生きてても希望がないから、自分を見てると希望が持てないから支柱が必要なんだ。


 その信仰を保つには滞ることのない偽りでも真実でも良い逸話が必要で、存在を認識させるにはより身近に存在を感じなければいけない。


 その為の生贄なんだろう、昔から頭が良かった僕はそんな事を知っている。


 純潔とは性を通過していない人のこと、つまり僕みたいな童貞野郎とか処女メスのこと。


 理由は簡単、死にたくないって思ってヤってくれれば人口が増えるかもだから。


 僕は知ってる、去年生まれた子供が120と少しだけだった事を。


 そうゆう事だ、僕みたいな普通面の奴でもメッチャ誘われるのはその所為。


 でも僕はヤらなかった。


 だって国の思い通りになるとかダサいだろ?


 そんな理由で死ぬ気か、友達や両親に何度も何度も言われた。


 でも嫌なんだ、僕は、、、



「今世は自由に生きるって決めてんだよ!」



 僕は叫ぶと燃え盛る火に翳し続けて真っ赤になった装飾の嫌に多いナイフを上げると目を瞑った。


 儀式の内容は簡単なものだ、ただ穴の中で自ら焼いたナイフを心臓に突き立てる事で命を燃え尽きさせるだけ。


 言い伝えは色々聞くけど要するに熱々のナイフ刺して苦しみながら死ねって事だ。


 だから僕は生贄だって言われた日、安らかに潔く、そして苦しむ余地の無いほど一瞬で右の肺を刺してやろうと決めていた。


 何度も何度も教会で叩き込まれた死に方は簡単に言うと胡座で背筋を直角にし左の胸に熱々のナイフ、その先端を軽く1ミリだけ刺し心臓へ真っ直ぐに手で調節したらゆっくりと胸の内へナイフを押してあげる。


 これだけだ、刃のないナイフで何百回も反復練習させられた。


 だから僕は胡座だった足を崩して右の心臓に当てる事もなく一瞬で深々と差し込んだ。


 最初に感じるのは絶望的なほどの熱、血液の沸騰する感覚だ。


 次に熱に掻き消されそうだけど、しかし強烈な痛み。


 そして喉が亡くなったみたいに呼吸が出来なくなって、、、

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