第26話 キビリス村防衛戦 ~オーク200体相手に無双する~

 あれから2日後、早朝の森。





「良し、今日の分は終わり」



 首を切断した魔熊を見下ろして、俺は満足げに頷いた。


 今日の収穫は魔熊とイエローラビットが4体だ。


 ちなみに今、俺は昨日と同じく周辺探索の名目で外に出ている。


 もちろん、本命の理由はデイリーボーナスの取得だ。


 更にちなみにでいうと、これまで結構な数の魔物を狩ってきたんだが、魔物の核である魔石はアイテムボックスに収納している。


 それと、高く売れる毛皮や牙も保管しているし、魔熊の肝臓は乾燥させると錬金術師が買い取ってくれるので、これも当然保管している。


 ま、換金すれば1か月くらいは豪勢に過ごせるくらいの金にはなるんじゃないかな?


 昔の俺だとソロだと到底手が出ないような魔物も普通に狩ってるしな。


 とりあえず、今回の仕事が終わったら本気で豪勢に街で一杯ひっかけようかと思っている。


 と、それはさておき、しかし、本当に敏捷の能力値は役に立つな。


 魔物ってのはやたら滅多に遭遇するもんじゃなくて、討伐依頼を受けても……探すのからしてまず大変だからな。


 巣を作って異常繁殖しているような場合や、あるいは氾濫(スタンビード)が起きているような場合を除いて、本来なら遭遇するにも一苦労だ。


 その点、冒険者ギルドには情報も集まっているし、ギルド登録したのはそれが理由でもあるわけだな。


 でも、敏捷値のおかげで、森を歩いているだけで何となく周囲の状況が分かるので魔物の発見も容易い。


 この国に来る旅の途中は最初は半日かけて5体達成みたいな状況だったのに……今では1時間~2時間でノルマをクリアーできるんだからな。


 で、前置きは長くなったが俺のステータスはこんな感じ。




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 ステータス


 名前:タイガ


 職業:村人


 レベル:26(限界値30)


 HP352/352


 MP0/0




・能力値


 筋力:48

 体力:15

 魔力:3 

 敏捷:15→25

 器用:15

 幸運:3


 所持スキル:食いしばり レベル2

      :鑑定    レベル1



 残能力値ポイント:5→10→15→5

 残スキルポイント:60→70→80


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 今回、敏捷に全振りしたのは森の中に感じた強大な何かを警戒してのことだ。


 アレとやって勝てる気は今のところしないし、少しでも危なくなったら早々に逃走に入る予定ってことだな。


 その時は周りのみんなには危険は伝えるが、聞く耳は持ってくれないだろうなあ……と、思う。


 まあ、そうなればそうなった時で、説得的な意味でやるだけのことはやろうとは思うけど、自分の命が一番大事なのは当たり前だ。


 っていうか、ぶっちゃけると早々に村からは離脱しようと思っていたんだ。


 が、オークたちの気配はこの周辺には感じるんだけど、あの鳥肌が立つような禍々しい気配は今のところ感じられない。


 ひょっとすると、あのボスの気配はこの村を狙っている集団とは違うものかもしれない。


 それに、ギルドでは正当な理由がない場合の依頼の中途離脱は、敵前逃亡に準じて下手すれば罪を問われることでもある。


 ってことで、今は逃走は一旦保留しているわけだ。


 と、それはともかく、能力値のデイリーボーナスも今日で終わりだな。


 後は爆速で強くなれそうな要素は、スキルポイント関係とショップ機能ってところか。


 スキルポイント関係のデイリーボーナスはまだ生きているので、100まで残り二日だ。


 あと、≪レイド≫とかいうのもあと二日が期限だな……さて、これについては本当にどうしようか。


 しかし、本当にあの気配の主はこないのだろうか?



 ――今日の夜は満月で、いよいよ決戦の時だ


 

 と、一抹の不安を覚えながら、俺は村へと戻ったのだった。

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