第4話 俺だけ使えるステータスウインドウ。俺だけ割り振れる能力値。
目が覚めた。
起き上がってみると、何故か傷が完全に消えていた。
現実感がないせいか、どこか他人事のように俺はこう呟いた。
「夢か何かだったのか?」
そういう風に思うが、そこには確かにナイトウォーカーの死体もあった。
どうにも……夢ってわけじゃあ無さそうだ。
「ステータスオープン」
職業村人:レベル15(レベル限界)
HP221/221
MP0/0
ステータスプレートを、マジマジと眺める。
状態異常も消えているし、HPが……全回復しているな。
これは一体どういうことだと思ったが、それよりも……もっと驚いたことが起きた。
「何だこりゃ?」
と、言うのも、さっきのステータスオープンの言葉と共に、目の前にステータスウインドウのようなものが浮かび上がったのだ。
・メニュー
1 ステータス確認
2 アイテム使用
3 イベント
4 持ち物確認
5 報酬
6 メッセージ(NEW)
「意味が分からない」
持ち物やミッションってどういうことだ?
元々ステータスなんかが存在する、ゲームっぽい世界ではあったが……。
とりあえず俺はステータス確認と呟いてみた。すると――
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ステータス
名前:タイガ
職業:村人
レベル:18(限界値30)
HP252/252
MP0/0
・能力値
筋力:3
体力:3
魔力:3
敏捷:3
器用:3
幸運:3
所持スキル:食いしばり レベル1
鑑定 レベル1
残能力値ポイント:6
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HPやMPは分かるが、筋力や体力だと?
この世界で貰ったステータスプレートにはそんなもんは無いし、見たことも聞いたこともない。
こりゃあ……本格的に意味が分からないな。
そこで、俺はNEWと書かれている項目、つまりは「メッセージ」と声に出して言ってみた。
すると、ウインドウにこんな文字が出てきたんだ。
・お知らせ ①
スタートダッシュ讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ加につきまして。
メンテナンスに伴い、システム利用者の讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ縺に際し、1週間限定の讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ縺が開催されます。
ログイン讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ縺デイリーミッションが追加される他、最終日には讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ縺を用意しました。
・お知らせ 2
職業適性:村人の讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ。
大規模な難易度調整のメンテナ讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ縺ため、プレイヤーの公平性の観点から村人職に初期能力値ボーナスを付与します。
能力値ボーナスポイントを30ポイント讖溯?縺ョ霑ス蜉?縺ォ縺お役立てください。
文字化けしてて良く分からん。
と、深く考える間もなく、ウインドウに項目に「NEW!」との表記が付いていた。
NEWがついた項目は、イベントと報酬の項目だ。
とりあえず「報酬」と言ってみると「能力値ボーナス30ポイントの受け取り」と書かれていたので、「承認」と言ってみる。
すると今度はステータスに「NEW」と出ていたので見てみると――
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ステータス
名前:タイガ
職業:村人
レベル:18(限界値30)
HP252/252
MP0/0
・能力値
筋力:3
体力:3
魔力:3
敏捷:3
器用:3
幸運:3
所持スキル:食いしばり レベル1
鑑定 レベル1
残能力値ポイント:36
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残能力値ポイントが6から36に増えているな。
恐らく、筋力値のどれかにポイントを割り振れという意味なんだろうが……。
うーん。
例えば筋力を上げればどうなるってんだろうかな。
「筋力に36ポイントだ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ステータス
名前:タイガ
職業:村人
レベル:18(限界値30)
HP252/252
MP0/0
・能力値
筋力:3→39
体力:3
魔力:3
敏捷:3
器用:3
幸運:3
所持スキル:食いしばり レベル1
鑑定 レベル1
残能力値ポイント:36→0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まあ、こんなことやっても、大した変化なんかおきやしないだろう。
と、そんなことを思いつつも、俺はその辺りに転がっている石に視線を移した。
「鑑定」
・柔らかい目の鉱石
亀裂が入りやすく割れやすい、ナマシ鉱の含有率が高い鉱石。
硬度は相当に低くCランク冒険者の戦闘職であれば、ギリギリ握って割ることが可能。
酒場で力を誇示するための小道具として使用されることもある。
うん、この情報は知っている、
実際に、ベテラン上位の冒険者に何度か見せてもらったこともあるしな。
硬い鉱石を握りつぶすには更に上位の冒険者じゃないと無理だ。
が、こういった、ちょっとした小ネタを使えば普通の人間の範疇でも……ハッタリを見せるだけならなんとかなる。
とはいえ、ギリギリで人間を辞めかけているような腕力がないと可能なことでもない。
例えば、素手で太い樹木を殴り倒すとか、魔熊と相撲を取れるであるだとか。
そういう領域でないと、真の強者としてのハッタリもできないわけだな。
で、俺は冒険者ランクで言うと、DとEの間くらいの力だ。
無論、戦闘職でもない。
と、なると、俺がこの石を握って割るなんてことは絶対にできないはずだ。
そうして、俺は石を握りしめて「フンっ!」と気合いの掛け声と共に力を込めてみる。
すると――
「割るどころか……粉砕した……だと……?」
パラパラと欠片となって掌からすりぬけていく石片。
それを眺めて、俺は呆然とその場で立ちすくんでいたのだった。
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