香る恋 旅×彼=運命♡

涼月

第1話 ボタニカルな香り

飛行機からboarding bridgeに踏み出すと

もわっと熱気が押し寄せてきた


ここはシンガポール Changiチャンギ空港

現地時間 5時30分


7時間のフライトで凝り固まった体をほぐすように

ゆっくりと歩き出した


足元にはフカフカの絨毯

ヒールの足がちょっと沈む



本当は、一人で来る予定じゃなかった


彰人あきとと来るはずだったのに

暑いクリスマスを一緒に過ごすつもりだったのに





その時、ふわりと花の香りがした……



甘くは無い


もっと爽やかな香り


こういう香りを、botanicalボタニカルな香りと言うのだろうか


何の前触れも無く、鼻腔にすぅーっと入ってきて

優しいのに、キリリとしている

花と樹木に包まれるような香り




これが、シンガポールの第一印象





その香る風が、一段と濃く吹き抜けた


横をすり抜けた男性の勢いで、風が動く


香りが押し寄せてくる


私は思わず、酔いしれた……





それが彼との出会い

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