84話 異常性
名前:カイン
レベル:58
年齢:16歳
種族:人間
性別:男
冒険者ランク:S級
能力値:
腕力SS
敏捷A
体力SS
器用A
運勢SS
知性SSS
装備:
ルーズダガー
ヴァリアントメイル
怪力の腕輪
クイーンサークレット
活力の帯
エンシェントロザリオ
宝珠の杖
聖書
スキル:
【削除&復元】A
【鑑定士】A
【武闘家】A
【殺意の波動】B
【擦り抜け】B
【偽装】B
【瞬殺】C
【亜人化】C
【難攻不落】C
【混合】C
【維持】D
【進化】E
【分離】F
【二重攻撃】F
【ストーンアロー】B
【ウィンドブレイド】B
【ファイヤーフィスト】E
【アイススマッシュ】E
【サンダースピアー】E
テクニック:
《跳躍・大》
《盗み・大》
《裁縫・大》
《料理・大》
ダストボックス:
アルウ(亡霊)
ファラン(亡霊)
髑髏1956
半魚人の鱗127
槍の破片84
魚の骨138
魚の身121
魚のヒゲ53
水のオーブ
巨大タコの死骸
夕方の会食までまだ時間に余裕があることもあって、僕は『鬼哭の森』を出たあと散らかってきたステータスを整理してみることにした。熟練度が高い順にして、なおかつ魔法系スキルをほかのと区別したんだ。
こうして眺めてみると大分すっきりした感じはある……って、よく見たら【武闘家】スキルの熟練度がAになってた。これに【進化】スキルを使ったら一体どうなるのか、《盗み・大》がほかのテクニックと組み合わせたらどんな風になるのかも含めて今度試してみたいところ。
さて、色々売りさばきにいって、それから依頼人の住所に向かうか……。
「カ、カインどのっ! お待ちしていたのだぁっ……。今日は何を売ってくれるのだっ?」
ってなわけで、僕は早速リーネの店に行ったわけなんだけど、今回は正直自信がなかった。なんせ肉じゃなくて巨大タコの死骸だし……。ただ、特殊なものに関してはどこの店よりもここが一番高く買い取ってくれるし、とりあえず反応を見てみたかったんだ。
「リーネ、実はこれなんだけど、どう……?」
「ぬあっ!?」
魚の骨とかも含めて復元させてみると、リーネがいつになく驚いた様子を見せてきた。さすがにドン引きされちゃったかな……?
「やっぱり、ここじゃ売り物にならないよね――」
「――か、買うのだ……」
「え……?」
「買うっ! 全部で金貨30枚なのだあっ!」
「え、ええぇ……」
それも結構な金額。リーネはいつも高額で買ってくれるけど、本当に大丈夫なんだろうか……。
「肌ざわりがとってもよさそうなのだ……」
「え?」
「な、なんでもないのだっ……!」
「……」
リーネ、耳まで真っ赤にしてるけど、どうしちゃったんだろう? ま、いいや。ありがたく受け取っておこう……。
「――ここは……」
ミュリアの武具屋で槍の破片を売ったあと、僕は依頼人の住所まで来ていた。
そこは貼り紙に書かれていた通り、まさに都の中心付近にあったわけなんだけど、この辺だと土地代だけでもバカ高いらしいのに図抜けて広い土地を有していて、リゼリアおばさんの家の近くにいるんじゃないかと錯覚するくらい緑に溢れていた。
さすが、伯爵の住む家なだけあって別次元の裕福さだね。
ただ、緑の中心にある屋敷を見ると、妙にもの悲しさを感じるのは気のせいだろうか……? 玄関なんて蔦が絡まってるし、芝生は荒れてるしで手入れが充分に行き渡ってない感じなんだ。たまたま掃除をし忘れてるだけかもしれないんだけどね。
こういうところがいちいち気になるのも【鑑定士】スキルの熟練度が上がってる影響かな? さて、気を取り直して依頼人のペルゼン伯爵に会うとしようか。ここまでは【擦り抜け】とか使ってきたけど、怪しまれる可能性も考えて普通に入ることに。
手の形をした不気味なノッカーを叩いて依頼人が出てくるのを待つと、それからほどなくしてドアがゆっくりと開き始め、半ばほど開いたところで男が顔を覗かせてきた。
「――ど、どどっ、どなた……だろうか……?」
「……」
骸骨を思わせる、異様に痩せた青白い顔に僕は思わず息を呑む。
「え、えっと、依頼人のペルゼンさんですよね……?」
「あ……あ、あぁぁっ……!」
「えっ……?」
扉が一方的に閉められてしまって唖然としてると、しばらくしてからまた少しだけ開けられた。
「し、失礼いたしました。わ……私が、ペルゼン伯爵であります。ど、どどっ……どうぞ、お入りください……」
「は、はい……」
なんだか僕が思い描いてた伯爵とはかけ離れてて、凄くおどおどしてるっていうか、家の中なのに周りをきょろきょろと窺ってるし、なんとも病的な感じだから見てるこっちまで不安になってくる……。
「――コホッ、コホッ……ど、どうぞ、ここにお座りください……」
「はい……」
伯爵から広間のソファに座るように促される。本来ならリラックスするところだけどそんな気分にはなれなかった。
「あの、ペルゼンさん……どこかお体の具合でも悪いんですか……?」
「……」
「ペルゼンさん……?」
「あっ……! い、いえっ……大丈夫です。体はそこまで悪くありません……ゴホッ、ゴホオォッ……」
「……」
本当に大丈夫なんだろうか……?
「な……なんせ、こうして人と話すのは久々でしてね……あ、な、何か飲み物でもお持ちしますゆえ、し、しばしお待ちを……!」
ペルゼン伯爵がいなくなり、僕はここに一人残されたわけなんだけど、誰かに覗かれてるような奇妙な気配をひしひしと感じた。明るいのに明るくないし、広いのに広くない。自分で言っててわけがわからなくなるけど、窮屈さが凝縮されたような部屋だった。雰囲気だけでこうも変わるんだろうか……。
「――お、お待たせいたしました……」
ペルゼン伯爵がコーヒーの香りとともに舞い戻ってきた。
「ありがとうございます……っていうかペルゼンさん、本当に大丈夫なんです?」
「だ、だ、大丈夫……です……」
「……」
片目が歪んで頬が引き攣った変な笑みを向けられたので、さらに心配になってしまった。でも、本当に大丈夫じゃないなら金持ちだからそういう依頼を出せるだろうし、僕が心配しすぎなのかもしれない。【鑑定士】か【鬼眼】の影響かどうかはさだかじゃないけど、一種の過敏症みたいなもので。
「そ、そ、それで、例のものはどこにあるのでしょう?」
「あ、これなんですけど……」
「お、おおおおぉっ……」
僕が手元に水のオーブを復元させると、ペルゼン伯爵が顔を近付けてきて玉と同じくらい目を大きくさせた。
「確かに、これは私が依頼した水のオーブ……。本当に持ってきてくださる方がいるかどうかは半信半疑でしたが、あ、ありがとうございます……」
「い、いえいえ……というか、その感じだとかなり切羽詰まってたみたいですね。余計なお世話かもしれないですけど」
「そ……それは……は、はい、仰る通りです。か、かなり追い詰められておりました……」
「……」
ここまで聞いちゃうとなんか放っておけないっていうか、気になってくる。
「あの……よかったら話を聞かせてもらえませんか……? 僕でいいなら是非力になりたいので……」
「お、おおぉっ、そ、そこまでしていただけるとは、実にありがたいものです……」
ペルゼン伯爵が目元に涙を浮かべながら握手してくるけど、まばたき一つしなかった。なんていうかもう、色んな意味で心配になる。ちらっと懐中時計を確認したら、会食まではまだ一時間くらいあるし大丈夫なはず……。
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