60話 欲張り
名前:カイン
レベル:51
年齢:16歳
種族:人間
性別:男
冒険者ランク:S級
能力値:
腕力S+
敏捷B
体力S+
器用A
運勢S+
知性S+
装備:
ルーズダガー
ヴァリアントメイル
怪力の腕輪
クイーンサークレット
活力の帯
エンシェントロザリオ
スキル:
【削除&復元】A
【ストーンアロー】B
【殺意の波動】B
【偽装】C
【ウィンドブレイド】C
【鑑定士】A
【武闘家】B
【瞬殺】D
【亜人化】D
【難攻不落】D
【進化】F
【擦り抜け】D
【混合】E
テクニック:
《跳躍・大》
《盗み・中》
《裁縫・大》
ダストボックス:
アルウ(亡霊)
ファラン(亡霊)
鎧の欠片65
盾の欠片39
槍の欠片24
トカゲの尻尾18
トカゲの肉14
斧の欠片11
髑髏358
背中の痛み5
肩の痛み4
息苦しさ3
腰痛5
疲労6
頭痛7
眠気4
倦怠感9
「――ふう……」
疲労や頭痛、腰痛等を削除して僕は一息つく。
ダストボックスを見ればわかるけど、これだけ腰痛とか疲労とともに沢山の髑髏を削除しても不老草を見つけることはできなかったし、ほかにも一杯あるんだ。というか、いつの間にか【削除&復元】スキルの熟練度がAになってるし、早速【進化】スキルを使ってみようか。
スキル名:
【削除&復元DX】
効果:
自身の近くにある所有物をまとめて削除、復元できる。さらにこのデラックス版では自分自身をも削除できるようになる。
「お、おおっ……!」
今までは一つずつしか削除できなかったけど、まとめて削除できるようになるんだ。これは地味に凄い……! っていうか、自分自身を削除……!? うーん、これはさすがになんか怖いから今じゃなくてあとで試してみるとしよう……。
ってなわけで、僕はまず髑髏を一気に削除することにした。うわっ、今までの苦労はなんだったんだっていうくらい、まとめてサクサク削除できてる。あっという間に髑髏の山が片付けられて、すっかり剥き出しになった地面を見回しながら歩いていくと、ぼんやりとした輝きを放つ青い草が顔を出しているのがわかった。
名称:
不老草
効果:
飛躍的な体力回復、滋養強壮、慢性的な病改善、若返りの効果を持つ。
【鑑定士】スキルで調べたら一目瞭然で、僕は早速不老草を削除することにした。ほかには見当たらないし、なんか依頼人に渡すのがもったいないくらいの凄い効果だけど、もっと上を目指したいからしょうがないね。さて、次は一気に古城ダンジョンの攻略を目指すとしようか……。
◆◆◆
「はぁっ、はぁぁっ……お、おーい、待てってんだよおおおおぉぉっ……!」
血眼で走っていたナセルだったが、まもなくメンバーが三人とも戻ってきたので立ち止まることになった。
「……ったくよぉっ……ファリム、ロイス、ミミル……みんな戻ってきてくれて嬉しいけどよ、俺を置いて先に行くんじゃねえよっ……! ぜぇ、ぜぇぇ――」
「――それどころじゃないのよ、ナセルッ」
「オーマイゴッド! リーダー、ファリムの言う通り本当に大変なんだ。構造が変わってしまって、この先は行き止まりだっ!」
「だからもう、引き返すしかありませんっ……!」
「な、な、なんだとっ……!? よ、よしっ、じゃあ今すぐ引き返そう――」
「「「――う、後ろ……」」」
「……え?」
『『『『『ゴオオオオオオォォッ……!』』』』』
ナセルが振り返ると、いつの間にかモンスターの大群が彼らの間近に迫ろうとしているところであった……。
◆◆◆
名前:アビスクリエイター
レベル:72
種族:アンデッド
属性:闇
サイズ:中型
能力値:
腕力C
敏捷F
体力S+
器用B
運勢B
知性SS+
装備:
王冠
効果:
知性が少々上がる。
宝珠の杖
効果:
INT(魔力)が中程度上昇する。
スキル:
【維持】
効果:
現在使用しているスキルの効果を長引かせることが可能。
【ストーンアロー】
【ウィンドブレイド】
【アイススマッシュ】
効果:魔力によって精製された氷の塊が標的を潰すように降り注ぐ。大きさや威力は使用者のレベルやステータスに依存する。
【ファイヤーフィスト】
効果:魔力によって精製された炎の塊が直線的にぶつかっていく。射程や威力は使用者のレベルやステータスに依存する。
特殊防御:
アビスバリアー
効果:
遠距離からの攻撃(魔法系の攻撃を含む)によるダメージを9割減少させる。
特殊防御:
ダークリバース
効果:
一定時間経つと体力がすべて回復する。
「……」
古城三階層の奥、黒々とした謁見の間に僕は来ていた。朝という時間帯なこともあってかボスはまだ倒されてなくて、玉座に王冠を被ったミイラが鎮座していたので【鑑定士】……いや、【鬼眼】スキルで調べたところだった。といっても【進化】したこのスキルなら見るだけでいいんだけどね。
まだこれが持続している状況でここに来られたのも、正解のルートを想像するだけで一つの道が輝くのがわかったので、【擦り抜け】や低レベルの敵をスルーできる【殺意の波動】も相俟って引っ掛かりがまったくなかったからなんだ。
それにしても……さすが、人気ダンジョンのボスなだけあっていかにも手強そうなステータスだ。パーティーが長い時間をかけて倒してるっていうのもうなずける。
んー、【維持】スキルが欲しいなあ。あと、魔法系のスキルが四色揃うので、【アイススマッシュ】と【ファイヤーフィスト】を。それに、王冠や宝珠の杖も《盗み・中》でいただきたいところだね。ただ、王冠に関してはクイーンサークレットがあるし、被ったら目立っちゃうだろうから売ろうかな――
『――ゴゴゴォ……』
「はっ……!?」
僕の底知れない欲望に気付いたのか、ボスが激怒した様子で立ち上がると杖を掲げて足元に魔法陣を出してきた。
何を使ってくるのかと思ったら大きな火の玉が杖の先からどんどん放出され始めてヤバイと思ったけど、足元にぼんやりと輝く線があって、そこの外側に出たら火球はここまでやってこなかった。つまりスキルの範囲外なわけだ。こんなことまでわかるなんて、【鬼眼】ってスキルは本当に便利すぎるね……。
「あ……」
相手のスキルが終わったら飛び込もうかと思っていた矢先、ボスの足元に魔法陣が出てきて火球はそれからもしばらく放出され続けた。かなり長いと感じるし、つまりこれって、例の【維持】っていうスキルを使われてるってことか。【進化】したスキルにも使えると思うとますます欲しくなってくる。
よーし、見てろ……。僕は注意深くミイラの足元を観察して、次の魔法が発動してほどなくしたあと、魔法陣が出てきたのでそれが止まるタイミングで削除してみせた。既に出ていた魔法もすぐに消えたし成功したみたい。早速復元して【鬼眼】を【維持】しておく。
それから僕は四色のスキルを削除し、ボスの攻撃を完全に無力化してからその懐に《跳躍・大》で飛び込んでやった。ミイラが立ち上がって杖でポコポコ叩いてくるけど、【難攻不落】があるから全然痛くない。あとはレア装備を盗むだけだ……。
――《盗み・中》を三十回目くらい使ったところであっさり二つとも盗んじゃった。それだけ僕の器用さや運勢が高いってことだろうけど手応えがないなあ。
『グオオォオォォォッ!』
近距離から一気に【亜人化】+熊の力+怪力の腕輪+ルーズダガーでザクザク切り刻んで終わらせてやると、周囲の景色が変わって僕は古城の入り口に立っているのがわかった。よし、クリアだ――
「「「「――うわあああああああぁぁぁっ!」」」」
「っ!?」
な、なんだこの悲鳴は……!? 古城の中からだ。
『『『『『グジュルッ……』』』』』
「うわっ……」
思わず声が出るほどの大量のモンスターが、気絶した様子の四人の冒険者パーティーに襲い掛かろうとしていた。僕はまず【殺意の波動】で動きを止めて、早速覚えたばかりのスキル【アイススマッシュ】、宝珠の杖、クイーンサークレット、【維持】の魔法系欲張り四点セットを試してみることに。
かなり分厚い氷の塊がどんどん降ってきて、モンスターハウスが一気に潰されていくのがわかる。
『『『『『――グオオオオオオオォォォッ!』』』』』
「……」
ふう、終わった。やたらと断末魔の悲鳴が重なってたけど、どれだけいたんだよ……ってか、ファリムの姿もあるし倒れてるのってナセルたちじゃ? なんであの三人が覆面をつけてるのかは知らないけど、どうやらお金を稼ごうとするあまりモンスターを集めすぎたっぽいね。危ないから外へ運んでおこう……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます