第20話:冷静に思い出す





(→ところで、美琴。あなた10歳の誕生日パーティージャッジメントのこと忘れていない?後二週間後よ。)




あ、そういえば。

私は冷静に思い出していた。



あ、あれ別にどうでもよくね??



(→どうでも良くないですわ。ヒロイン、クシュナの生命がかかっているのです。協力して彼女を救いましょう。)



あれ?

エフィス、もしかして私が気を失っていた時みた走馬灯?のことは知らないの?



(→なんのことです?)



あ、私実は、今回ジョーカーみたいなんだ。




あれ??心に隙間おかれてない?エフィス??もしかして今の発言に引いてる?言ったでしょ、私たちは二人で一つって。離れようったって無理な話だよ。




(→今の発言本当なのですか…)




私は走馬灯の記憶をエフィスと共有した。

彼女はジョーカーや支配人のことについてももちろん驚いているようだったが、それよりも私の部屋の散らかりように引いていた。



確かに前世、エフィス様はきっと整理整頓できるきちんとされた方だったのでしょう…。(白目)



(→わかりました。

美琴、あなたは転生者である私とクシュナよりも前世の記憶の残し方が色濃いわ。

きっとあなたの魂はまだ前世の現実世界とこことを行き来できる環境にある…

あなたが望むなら、3人で私たちそれぞれのハッピーエンドを掴みましょう。

そして、帰ったあかつきには…部屋を片付けてください‥)




はい、そうします…お見苦しいものをお見せしてすみませんでした。




(→そうなったら作戦を練りましょう。

まず一つ目。今回ヒロイン、クシュナは、私たちを選ばない限り死にません。しかし必ず最後のジャッジメントで王子と互いに手を取り合う関係へと導かねば、美琴は現実世界に帰れない。

二つ目、私、エフィスとアクエスが結ばれる…これは特に心配いらないと思いますので、作戦は必要ないでしょう。しかし、今回のパーティーには神官長は来ないかもしれません…毎回来たことはないので。

最後に、支配人のことです。このことはクシュナにも打ち明けましょう。3人揃えば文殊の知恵、私たちの力を合わせればきっと見つけ出せます。)




エーっと、つまり今回のジャッジメントはゆるゆるで行こう!作戦でいいってことですか?





(→えっ、ええ、まあ。)





****



10歳の誕生日パーティーを翌日控えた、

可愛らしい御令嬢たちはドスの効いた声で世間話をしていた。



「エフィス〜!!おかえり!!ああ、エフィス…!あんときはほんと面白かったよね!!!あはははは!!!」



「クシュナ、あなたったらあん時も私のこと悪者だと思って‥笑いごとではありませんよ!!!ほほほほ」



ノリ的には友達の部屋で、ポテトチップス片手に一緒にゲーム機握って乙女ゲーム三昧ってところだろう。いや、ノリではなくほとんどそんな感じなんだけれど‥。



きっとはたから見たら異様な光景だ。従者たちが何度もこっちをチラ見している。今、私美琴はエフィス同様、心の声としてアティスに居て、エフィスとクシュナの昔話を聞いてるって感じ。ほー、ベンチ待ちって感じかな。



私たちはクシュナに全てを打ち明かした。

はじめは動揺していたクシュナも、自分が何度も転生していることをようやく思い出したらしく‥このようにチリも積もった昔話が始まってしまったのだった。




「つまり、3人で結託…いいじゃない!支配人!見ていらっしゃい、転生者を舐めてもらっちゃ困りますよ!!」



「もう、クシュナ。あなたは勘ぐるのあまり得意な部類ではないでしょ。あ・な・た・は、今回こそや必ず王子のハートを射止めてください!お願いしますよ!」



「わかってるって!任せなさい!あはははは!!」




何回でも言ってあげよう、思い出したのはいいけどさ…

絶対あんたら二人、今10歳前のか弱い令嬢だってこと忘れてるでしょ…




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