第11話:冷静にお茶会に参加する〜後編〜
突然、ジャミンがこちらを向く。
「ここの令嬢は…?見ない顔だな。あぁ、もしかして君が遂に最初で最後の参加を決めたという噂の、ハーベル家の怖い方の娘か。」
妹が、怖くない方で私が怖い方ですかい!
まあ、止むを得ない理由で欠席していた妹に対して、私は無断わがまま欠席でしたから…
「あ!いた!ねえさん!!」
お〜弟よ!
こういう時にジェイって本当助けになりますね。
(→注意:ご都合主義過ぎます。)
「あ!いた〜!!お兄様!」
突然、鳥のさえずりのような可愛らしい声が割り込んできた。
間違いない、この声はヒロイン…。
(→状況確認:ジョカ横キャラが全員揃いました。)
「この状況は?もしかしてジュリアス、なんか余計なこと言ってないだろうね?わりと先入観に固執するタイプだからね‥君は特に」
ジェイが味方になってくれてる…!!あの、「ツンデレに見せかけて実はガラスハート」ステイタスをお持ちの宰相息子によくぞお説教かましてくださいました!
「この状況…。ここにいらっしゃる方はだれですか?お兄様」
ヒロイン、クシュナは私の方をじっと見て、その後ジュリアスに向き直った。
そうか、ヒロインの特徴とジュリアスのみため、ピンク系の髪の毛と緑系の瞳が、確かに似ていらっしゃるわ…。
「どうしたんだい?クシュナ嬢。君らしくもなく今日は少々ご機嫌ななめかな?」
ジュノー王子がいたずらな笑みを浮かべて私たちを見比べている。
(→疲労:登場人物が多過ぎます。記録するこちらとしても、だれがだれだが…)
A I(転生前アティス)!記録してくれてたんだ!ご苦労様です!
よし、登場人物を減らす為にも、私がまずこの場から立ち去ることにしましょう。こんなに一気に来られると冷静に分析なんかできないもんね。
「はじめまして、みなさま。私はろくな噂が立たない令嬢、アティス・ハーベルでございます!ご挨拶遅くなり申し訳ございません!妹があちらにおりますのでこの場を失礼させていただきますわ!ご機嫌よう!」
その場にいた一同、ポカンとした表情になる。
そりゃあ自分を自分でディスっちゃう悪役令嬢は珍しいよね…
私は、致し方無くなって、この場を去っていく。ジェイが私を追ってきているようだ。
(→忠告:ヒロインから遠ざかっています)
わかってる!
ちょっと引いてまた再戦するから、待ってくれ。
妹、アンジュの元に戻ると、アンジュは子供たち数人に囲まれ楽しく会話していた。急に戻ってきた私を見て、その子供たちというよりその両親たちが私を見てひそひそ話をしている。絶対これは悪い方向に向かってる、なんとかこの
「アンジュ!あなたもパーティーを楽しんでる?私、さっき、うさぎを見つけてね、それを追いかけていたら少し迷子になってしまっていたの!ごめんなさい、私、勝手にどこかに行ってしまって…」
最初に非を認めてしまっては、変に勘ぐられるかもしれない。無邪気な子供を演じて、大人たちから私の印象を少しでもずらしていこうという作戦だ。
大人達の物陰で小さな肩が揺れている。
これはきっとジェイだな。
ジェイが笑いを堪えている…むむむむ…
「うさぎのはなし私も混ぜてもらってもよろしいですか?」
振り向くと、私とジェイを追ってきたのであろうヒロイン様がそこにいた。大人達は、可愛い会話が始まるのだと思ったのか、ニコニコしながらこの場を退場していった。
そして、この場にはアンジュ、クシュナ、ジェイそして私だけになった。
まず、私は言い逃れができないので本当にあった出来事を説明しアンジュには再度謝った。
クシュナの兄であるジュリアスをうさぎに例えたのは、一緒にいたという余計な誤解を回避するためと、ひょこっと植垣から顔を出した様子がうさぎっぽかったからという理由で納得してもらえた。クシュナは、最初こそ怪しそうに私を見ていたが、最後の方は割と普通に聞いてくれていた。
どうやらお茶会も無事お開きらしい。
無事に?まず終了してよかったと帰ろうとすると、
クシュナとジュリアス兄弟が私たちに駆け寄ってきた。
「さっきはかくれんぼに巻き込んだだけじゃなく、ジャミンが君にひどいこと言っちゃってごめんね。」
「そうですよ!お兄様!普通の令嬢はかくれんぼなんてしませんから、そういうことには誘わない!!そして、アティス、アンジュ。あなた達とお知り合いになれてよかったわ。ぜひ今度遊びに行かせていただきたいですわ!!」
「も、もちろん!!喜んで!」
こうしてヒロインと次会う約束をし、冷静にみてもまずまずなスタートを切ったのだった。
(→機密情報:生理的理由により私はこの方に強く拒否反応が出てしまいます)
名前:ジュリアス
年齢:10歳
ルックス:ピンクと白のマーブルの髪の毛、ルビー瞳
ステイタス:騎士団長の息子 、ヒロインの義兄
好きなもの:剣
嫌いなもの:ドラゴン
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