ルーシー・ダイヤモンド・ドーソンと晩餐を
ヨドミバチ
✯1 愛こそすべて
ミシェル・ファイファー
――みたくアットホームでハートフルなコメントを、わが姉御どのの感性に期待したつもりは
まったくもって、ない。
本懐は〝あなた〟の方だ。幼きダコタ・ファニングちゃん扮する〝ルーシー〟の活躍に、少しでも影響を受けてくれればいいと思った。
触発されてアクションを起こしてくれれば御の字。具体的にはハグか、あるいはお姉ちゃんのベッドに生抱きまくら出張サービスなんてどうか。
そんなあたしの期待半分はしかし見事にそっちのけにされた。もう半分は懸念だ。
そしてそっちはほぼ案の定、よくよく考えてみれば何の不思議もないことに、よるたんはスクリーンの中でよい子の中のよい子の
かくして、【オペレーション=アイ・アム・サム】もまた失敗に終わったのである。デデーン。
――いいかげんにしてもらいたいんですけど?
これまで数々のなかよし大作戦を叔母にして妹にして花の高校二年生であるこの銀ちゃんめが単独で考案し能動的かつ積極的に時間と労力と若さとバターしょうゆのポップコーンを惜しみなく投じて投じて投じて投じまくってきたというのに、肝心のおふたりさんはそろってマイペースで根っからの
どちらからも干渉を避けている様子はないのだけれど、こちらから続々提供しているはずのコミュニケーションのとっかかりはことごとく空振りしてるっていうか、バッターボックスに人の立つ気配からまずない気がするのはなんつーことよこれ?
家はさして大きくない。お姉ちゃんが仕事へ出かけてさえいなければ、おふたりはひとつ屋根の下でほぼいっしょにいる。
だっちゅーのになんにも進展しないし改善もされないっていうのは、絶対にどこか間違ってる。歪んでる。
もっと楽しそうになさいよ。幸せそうになさいってばよ。
甘え甘えさせていちゃいちゃしまくって、あたしはお邪魔ですか~、いなくなった方がいいですか~、みたいな空気を読む立場にさせなさいっての。
今のままじゃあ、こちとらひたすら心配になってほかに身動きのしようがない。ずっと見ててあげなくちゃいけない気分でいるせいで、家から出ていけない。あわよくば戸籍から出ていきたいのに。行き先はまだありませんけどねっ。
不安はあたしをかき立てる、せき立てる、はやし立てる。
特にお嫁に行けない不安となると切実もいいとこだ。
ヴァージンロードでうしろからスカートを踏まれることを危ぶみながら、せっせと石を用意している。投げてぶつけるものを用意する。
獲物は水面にいると思っていた時期もあったけれど実は思いのほか深くにいた。けれど工夫をすれば水面までおびき寄せることも不可能ではないだろう。
あの手この手、どの手? わからないので試行錯誤の毎日である。
作戦を練っては一石を投じる。ボール、ボール、またボール。ピッチャー交代はなし。打たれるまでなし。
だからはよ打たんかぁぁぁぁぁい。あたしゃ先史時代の武器じゃなくてブーケが投げたいんじゃぁぁぁぁぁぁい!
すでに新しい作戦の仕込みは終えていた。ちがう、大作戦だ。二度と間違えるな。
今日はその実行日にあたる。
晴天には恵まれませんでしたが乾燥した曇り空の下、地元商店街の入り口に来ております。あたし銀ちゃんです。どうぞ。
「どうぞ、じゃない。その作戦とやらへ僕を組み込む流れかこれは? のこのこ連れてこられた僕は
おおっと幼馴染みの
素がアンニュイ眼鏡ボーイのチミが黒々としたオーラを発しているとトナカイも寄りつかないよ? あたしみたいな物好き以外みんな逃げちゃうよ?
お嫁さんの候補、あたししかいなくなっちゃうぞ? ゾ?
「つーわけで今日は新婚の予習です。キャッ」
「離婚してください」
「やっだー、あたしたちまだ始まってもないのにン」
「帰りたいんだけど」
「愛の巣へ?」
「僕の
「離れたくないの」
「よっぽど触り心地がいいんだね」
わはー、ひなっちが笑ってるぅ、すんげぇいい笑顔、まぶしッ。震えが止まらなくなるほどまぶしッ。漏れそッ。やーひさびさにいいもん見れたねぇー。
「
「ご、ご、ご、ごめんなさいごめんなさいごめんさい! いいかげんにしますいいかげんにしますからそのシャイニングエンゼルスマイルで迫ってこないでぇぇぇぇぇ!」
「じゃ、僕は帰る」
「そ、そうは問屋がおろさね――」
「ニコッ」
「おろしました。ありがとうございました」
ああ、しかし、ここでひなっちに帰られるとあたしのビューティフルな作戦に、大作戦に支障が、出るか出ないかっていわれたら出たとき困るんだけどなぁ。よし。
「ひ、ひな!」
「まを抜くな。二度とだ」
「ひゃい。しゅみましぇん」
怖いよ、ま必須のひなっち。じゃなくて、
「好きです! 結婚してください!」
「無茶だ」
「今日一日だけ! って、うわー、無茶ってなによ? ホモセクシャルの性別の壁より厚いへだたりがあたしたちの間にはあるっていうの? 人はそれを愛と呼ぶ」
「おまえはなにがしたいんだ?」
「サッカーチームを作りたいです!」
「まあビラ配りくらいなら手伝ってもいいが」
「ビラはやばいよ。淫乱すぎるよ!」
「今のどこに
「ケッ、これだから
「伏せ字にしても僕を敵に回したことには変わりない」
「パトリックだよ?」
「そのボケは苦しい」
「むむむ、なかなか手ごわいぜよ。気に入ったっちゃ。おまんをわしの一日カレシに任命しちゃるきに、コーエーに思うがええわ。ナッハッハッ」
「はあ。用件はそれか?」
わーお、さすがひなっち、話が早い。
「そゆことです。ま、あくまで見つかったときだけでいいからさ、カレシでーす、銀ちゃんとの
「だれに見つかるんだ?」
「お姉ちゃん」
「
ひなっちに怪訝な顔をさせたところでジャストタイミンッ、地下駐車場から出てきたサングラスの女性にご注目ゥ。
白いリボンが、うーわー似合ってねー。なにあれ、パンツルックに仕事用のコートって、ちょっとやめてよもう
つうかでけえよ! どこで売ってたのそのふんどし!?
「なにをわなわなしている? あれ? 衛幸さんじゃないか?」
「見ないでぇ、身内の恥を見ないでぇぇ!」
「あの人が恥ならおまえは死刑囚かなにかか?」
「にゃっにゃっにゃにおぅ!? てンめ、ジョークでもいっていいことと悪いことがあんだぞォ!」
「とある同年齢の異性から度々冗談で済まないレベルの恥辱を受けているんだが」
「今日はけっこう気合い入ってる方なんだぞ! 寒いのガマンしてがんばってんだぞコラァ! パンツ見るか!?」
「ここからだと丸見えだぞ」
「ふぎゃああああスカートの反乱んんん!?」
「見つかるとまずいんじゃないのか?」
まずいよ、まずいよそりゃあ、タイル張りの街並みで小さな春が満々開ですよ、冬の装いにしちゃエキセントリックすぎるよ。あたしってば自宅からスカートはき忘れて……え、来て、ない?
「なにをおろおろしてる」
「と、透視!?」
「できるか」
「あたしの春が丸ハダカだっつったじゃん!」
「いってない。ひとこともいってない」
「つぼみのまま大事に取ってあるんだかんね、ちゃんと!」
「なんの話だ?」
「カトリ○ックなら
「伏せ字も失敗して意味不明なことばかりわめいてるヒマがあったら衛幸さんをどうするのかいえ」
だーめだコイツ、このタイミングでほかのオンナの話とかマジありえないんですけどォ、いい度胸しすぎなんですけどォ。よりにもよって衛幸さんときたよ。なんで今お姉ちゃんの話なんか、ってギャーオ! 丸見えじゃん! チカチュー入り口に立ってるお姉ちゃんからこっち丸見えのモロ見えじゃん!
やっべ、急いで隠れろっ。隠れ、ってどこに? あ、交番がある。
やあやあ、おまわりさん、怪しいものじゃないんすよ? ストーキングが趣味の善良な一市民でぇーす。手前の植え込み使わせてねー。
ほらっ、ひなっちも早くここへっ。ハァイド、ハァァァァイド!
「まを抜いたな?」
「ぎゃーっ、今のノーカンノーカン! 心の声だっつの!」
「で、衛幸さんをストーキングする目的は?」
「コ、コラァァ、声でっけえぞっ。ここ一応交番の前だからっ、ただでさえあたしら挙動不審で注目浴びてるからっ」
「自覚があるなら自首をすすめる」
「監獄でひと晩明かしちゃう? 看守にバレないようふたりは声を押し殺し――」
「おまわりさん、こっちです」
「うっそうっそうっそ! スカートは家から履いてきました! 痴女じゃありませ」「冗談抜きで巡査さんの視線が痛いからね? これ以上遊ぶつもりなら僕は他人のふりをして帰るよ?」「ひぃぃッ!」
街中のせいかもしれませんが、今日は取り乱すことも少なくエンゼルスマイルが大繁盛ですね、守雛クン。先生はあなたの成長を誇らしく思います。
えー、ハイ、あと二秒で腰が抜けて立てなくなりそうなので、ちょっと真面目にやります。
「お姉ちゃんこっち見てる?」
「まだ見てない。顔を出してもだいじょうぶだろう」
「ほ、ホント? ていうかひなぁぁややややまひにゃくんはっ……」
「ギリギリセーフだったな」
「おかっ、お隠れにならないのですかぃ?」
「バレないようにする理由をまだ説明してもらってない。まあ今気づかれても僕ひとりだといいわけすれば済む。この
目立たないだろうってキミ、キャソックではございませんか。
いっつもそれ着てるからあたしは見慣れちゃってるけど、街中でそれは地味でも目立つよ? いくらクリスマスでも物珍しがられるよ。ブッチンがられますわよ?
まあお姉ちゃんの目に入りさえしなけりゃなんでもいいんだけど。
「じ、じゃあじゃあじゃあ、お姉ちゃん、だれかといっしょにいる?」
「だからおまえがどんな〝だれか〟を想定しているのか知らないって。というか、自分で確かめればいいだろう? 頭を出してもだいじょうぶだといったはずだ」
「だ、だってぇ……」ここでそんな意地悪ですか、守雛くん。未来のお嫁さんは悲しいですぞ?
「……いないよ。衛幸さんひとりだ」
「うそぉっ!?」
あたしは慌てて植え込みのかげから立ちあがった。通りの向かいにある駐車場出入り口の前で、ふんどしリボンをうなじから垂らしたクールレディが火のついた
本当にひとりだ。連れらしき人影がない。
なんで? ふつふつとした感情があたしの中でふくれあがる。
まさか、置いてきたの? なんでなんでどうして――
「だれか待ってるみたいだな」
「ひぇ?」
ひなっちにいわれて呼吸が泳いだ。怒りを声に出しかけていたせいだ。あ、まずい、これ、しゃっくりが出る。
黒髪ロングのタイニーガール。小犬かスカンクみたいだ。
コーヒーブラウンのしましまポンチョはシルエットがふくふくしてる。
見覚えのある姿にすっと胸が落ち着いた。イエス、ノーしゃっくり。
あのポンチョの中身がガラス細工の小鳥みたいにとっても華奢なことをあたしは知っている。
ツーサイドアップ変形の
素材がよかったからだと、彼女の髪の感触を思い出しながらひとりで
「ああ、今日もベリィキューツだよ、よるたん。ヒック!」
「あの子が
そーいやひなっち、生よるたんは初見でしたか。
「おーおーヒック! 早速見とれてるねえ。どうだいまひなヒッ、くん。可愛いだろー、ちっこいだろー、なでくりまわヒッ、まわしたいだろー、膝の上に乗せてヒッ、ギュッとしたいだろーヒッ、はっはっはっ。あたしのヒッ、自慢の姪っ子だかんな。絶対にあーげないっ。代わりにあたしをあーげヒッ、ううううぜぇ! しゃっくりキャンセルマジうぜぇ!」
「おまえは正月にひとりですごろくをしていそうだ」
「やめて! 的確に銀ちゃんの尊厳だけをえぐらないで!」
えぐってもらえるだけでもうれしいだなんて、恥ずかしすぎていえないもの。むしろもっと深くまでえぐってほしいのに。あたしはすでにおかしくなっちゃってる。もうひなっちなしじゃ生きてけない。
「あなたの手にかかるたび、心はキズモノになってくみたい……責任取ってくれなきゃ、あたし――」
「トイレに行ってただけみたいだな」
無視をされてもひとり。いや無視されてひとりなのか。
オーイエー、諦めませんよ、勝つまでは。
地下駐車場の出入り口には、エレベーターと階段のわきに公衆トイレもついている。よるたんはさっきそこから出てきた。
近づいてきたよるたんにお姉ちゃんがハンカチを渡している。よるたんはそれを受け取って、洗った手を拭いているようだった。
「おまえから聞いてたよりは、なかよさそうに見えるが」
「そりゃ、お姉ちゃんも気をまわす努力くらいはしてるよ。あたしにだってあれくらいしてくれるし」
「衛幸さんも苦労してるんだな」
「そこは『いい姉を持ったな』じゃないの!?」
「ふたりはなにをしに街へ?」
「ナイス・クエスチョンだよ、ひな――」
「ま」
「うぇい」
心の中ではずっとひなっちだからね、ンフフ。
「おとといお姉ちゃんにね、トリック・オア・クリスマスプレゼント! って突然いったの」
「衛幸さんも苦労してるんだな」
「はーい、二度もつっこみませんよー? んで、情け深くも『なにが欲しいんだ?』って
「おまえは情けない」
「こうもいったよ? 『わからないなら夜祥に訊いてみればいいじゃんか。イマドキのかわい~い女の子がなにをもらうと嬉しいか、お姉ちゃんよりはだいぶよくわかってると思うけど?』」
「おまえと衛幸さんの方が歳近いじゃないか。夜祥ちゃんとのつき合いだって、まだ半年も……」
「それはもうつっこまれ済み。オンナノコとオンナの間には越えられない壁があるのよォー、って論破しといた」
「馬鹿らしくなって折れる衛幸さんが目に浮かんだ」
「という口実で、お姉ちゃんはよるたんとのラブラブショッピングを余儀なくされちゃったのデス!」
「ふたりの商店街デートが本命。なるほどな」
ただデートさせるだけじゃあない。
お姉ちゃんはあたしへのプレゼントを選ぶために、ああだこうだとよるたん相手に質問をしなくてはなりません。
イマドキの女の子はどういうものが好みか、
だけどお姉ちゃんがもっと積極的になれれば、あれはどうだ、こういうのを夜祥は可愛いと思うか、夜祥はどんなものが好きか、どういうものが趣味に合うか、夜祥ならどんなものがもらって嬉しいか、なんて具合によるたん自身のことへ踏み込んでいける。いこうと思えばごんごんいける。
会話もはずんで理解も深まって一石二鳥。
そして最後には、夜祥にもなにか買ってやろう、みたいな話になればいいなあ、っていうか普通ならないわけがないよねえ、ならなかったら絶対に許さないからね、ただじゃおかないかんね、お姉ちゃんさんよぉ?
「ヌフフフ、覚悟なさい」
「なるほど、デートを失敗させてふたりのなかを引き裂こうと」
「うおお!? なんでやねん!?」
「あくどい顔をしていた」
「してねえしっ! よしんばしてても銀ちゃんくぁわいいまんまだもんっ。よくって? あたしたちはふたりのデートの成功を見届けに来たの。お姉ちゃんたちの距離が少しでもいいから縮まってほしいの。って、毎度毎度事後報告なら嫌というほど聞かせてやってんでしょうがっ」
「自分で嫌と思うことを人にするなと教わらなかったか?」
「教わりましたけどなにか?」
「そう来るか」
腕組みをしたひなっちは鼻で軽く息をついて、お姉ちゃんたちの方を見やる。「デートの成功を見届ける、ね……」ひなっちの声は、冬の風と風のすき間に切れたクモの糸みたく、するりと入り込んでいった。
「ここまでセッティングできたんなら、もうべつに尾行までして監視する必要もないんじゃないか? あえていうのもなんだが、衛幸さんもいまだにおまえのたくらみというか、意図を察してないわけじゃないだろう。その上であの人なりにうまくやるんじゃな」「おおっ、よるたんとお姉ちゃん移動し始めたっ。我々も続くぞまひなん! 【オペレーション=最強のふたり】の正念場は実はこっからだぜ!」
「おい、待て。監視以上のなにをする気だおまえは? というかまひなんってなんだ?」
「作戦にかこつけて、まひなんとデイツッッッ!」
「そっちじゃない。あのふたりに具体的になにをけしかけるつもりか訊いてるんだ」
「うわ、さっぶ。その受け身はさっぶいよまひなん。生かすにしても殺すにしてももっとハ・ゲ・シ・クしてくんなきゃ、こちとらてんで満足できないんですけどォ?」
「いま急に門限が早まった気がする」
「ああンっ、いけずゥ! いちいちへソ曲げてんじゃねーよぅ、ったくぅ。ダイジョブだっての。この銀ちゃんに任せておけば、万事お茶の子さいさい、チョチョイのパーのピーのプーィよ」
「チョチョイでパアにしそうだという僕の懸念はそういう種類の〝だいじょうぶ〟を欲しがっていないのですが、お嬢さん?」
「おおっと、こうしちゃいらんねえ、見失っちまう。ダッシュダッシュ」
かけ足。商店街は交番のそばの入り口からアーケードになって、左右に伸びている。お姉ちゃんとよるたんは右側へ入っていった。
「走りながらでもいいから質問に答えろ!」
フフン、きみが律義に追っかけてきちゃうことは織り込み済みだよ、ひなっちくん。
正直に告白すれば、彼についてきてもらう必要なんて実はない。呼び出したのは、本当に今日の作戦に関してだけいえば、お姉ちゃんにあたしが見つかったときのための保険以外のなにものでもなかった。
彼にいったことがそのまままるごと真実。余りはなし。
なんだかんだ口うるさいけど彼はいわゆるいい人で、実際にはおうちの教えを使ってではあるけれど、『だれかを救いたい』系の人だから、あたしが神妙に本当のことを話しても、見捨てたり無理やりいさめようとしたりはしないはずだ。と思う。
ただ、そういう善意にすがってしまうとあたし自身がすごく弱気に見えそうだから、だとしたら格好がつかないから、
こちらのっぽい主導権。きっと〝っぽい〟だけだけど、そういうみみっちい代物でも握れていないと不安でしようがないオクビョウモノなので。
ねえ、あたし。どうしてそんな遠回りを自分に科してまで、保険の『カレシ』が欲しかったわけ?
だって、お姉ちゃんたちは、せっかくの親子水入らずなんだよ?
無粋でない手出し以外は、したくないじゃない。
つづく
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