第3話 初モンスターはやっぱり……

長ったらいプロローグをスキップし。


森の中に立っていた。

うん知ってた、放浪者だもんね


「とりあえず状況把握だな」


ステータス画面を開いた


————————————

PN:クロム

LV:1

JOB:暗殺者

所持金:9,000ゴールド

HP(体力):30

MP(魔力):15

STM (スタミナ):20

STR(筋力):10

DEX(器用):15

AGI(敏捷):25

TEC(技量):15

VIT(耐久力):1

LUC(幸運):30

スキル

無し


装備

左:アサシンナイフ

右: アサシンナイフ

頭:無し

胴:皮の服(胴)

腰:皮の服(腰)

足:無し

アクセサリー:無し

————————————


圧倒的紙装甲

取り柄は運の高さと素早さのみ

アサシンナイフという短剣が初期装備のようだ。


とりあえず試しで戦闘をしてみるのもいいかもしれない。


「凄いな……身体がスムーズに動く。」


このゲームのアバターは極めてリアルに近い動きができる。

確かゲーム内の動きがリアルに影響を出さないよう毎回ログアウト時に現実の肉体と意識との同期システムがあるが、その必要がないと感じるくらいに思い通りに動くな。


しばらく歩いてみて、ふと


「暗殺者っぽい立ち回りしたい」


ということでせっかくの森だ。木の上を進むことにした。


「AGI高めだからか?思ったよりスムーズに行けたな」


正直木から落ちるのでは?とも思ったが、杞憂だったようだ。


「お!ゴブリンじゃん」


初戦闘の相手はファンタジーというジャンルにおいてドラゴンに匹敵する

メジャーモンスター。


ゴブリン……というかプレイヤーより小さめの人型モンスターは戦闘要素のあるゲームではほぼ確実に現れるタイプの敵MOBだ。


「そういえば暗殺者ってたしか投擲にも補正が入るんだったっけ」


気づかれぬようにできるだけ近づき……


「ほっ」


ゴブリンの背中めがけてナイフを投げる。

そして当たる


「ギャァァア!!?」


傷口からは血ではなく赤色のポリゴンが飛び散り、どうやら一撃でHPを削りきったのかゴブリンは泡のようにポリゴンとなって分解、消滅した。


死体から剥ぎ取るタイプではなくドロップアイテムだけ落ちるタイプか、一時期リアルにしすぎて犯罪沙汰になった事件があったし、そこらへんの配慮だろう。


「ドロップは……おっ。」


 基本的に全てポリゴンになって消滅する、つまりその場に残ったものはドロップアイテムということだ。

お世辞にも上等とは言い難い、木の棒に石を蔦紐で巻きつけただけの石斧を拾い上げると、それは分解されてインベントリへと収納される。


「ふむ……『ゴブリンの斧』」


確かにテンプレートだが……


「使い道ないんだろうなー」


まあいいか、予備として持っておこう


「確かこのゲーム空腹度とかも隠しパラメータであるんだったか……」


となると、ある程度モンスターを狩って何をドロップするのか確かめないといけないか。


………あぁ、この感覚はクソゲーも神ゲーも分け隔てなく来るものだな。

新しい世界に飛び込んで、これからどうしようかと考えるこの瞬間の高揚感はリアルじゃ滅多に得られないものだ。


「さぁ、エンジョイを忘れずやっていこうか!」


俺は道なき森の中に、目標という道を探しながら一歩踏み出すのだった。

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