サンタクロースなんていらない

Re:over

サンタクロースなんていらない


 今日もまた、両親は喧嘩していた。今回の理由は僕のクリスマスプレゼントを参考書か服にするか、という喧嘩だ。


 父は、もうすぐ高校受験があるのだから、参考書がいいだろ、と。母は参考書は別で買ってあげ、プレゼントには高校生らしい服を買ってあげるべき、と。お互いに譲り合う気はないらしく、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う、といった形で話がループする。


 僕はその話を聞きながら喧嘩するくらいなら、サンタクロースなんていらない、と思った。でも、僕にはどうすることも出来なかった。


 迎えた25日の明け方。両親の部屋から妙な物音が聞こえ、目を覚ました。いつもプレゼントが置かれているベッドの上には何もない。また両親の部屋から物音が聞こえた。寝返りしてベッドから落ちた時のような音。続いて、布団を漁るような、擦るような音がした。


 何をしているのだろうかと気になって部屋を覗いた。カーテンと窓が開いていて、青白い光が差し込んでいる。そこには母を袋に詰めているサンタクロースがいた。母は頭から血を出し、抵抗する様子はない。袋はすでに何かが入っているようで、父の姿もない。


 サンタクロースは重そうな袋を肩にかけ、こちらを一瞥した。そして、満面の笑みを浮かべ「メリークリスマス」と野太い声を部屋に響かせる。

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