第24話 熱気球

不条理なほど広い砂漠の上に転がった気球の残骸が

宇宙にある無数の星々を僕に連想させ

その存在の小ささを思い知らせる

それぞれの空を目指した冒険家達は

共に墜落した気球をあとに一体どこに行ったのだろうか?


人が何か行動を移すときにいつも何か良からぬ想像が頭の中に浮かぶのは

失敗した時のダメージを本能的に計算してしまうからだ

そして生存のために進化した脳は自然と諦める理由を探し始める

これは種の保存のための神の設計で

僕は地上に縛られながら息苦しさを感じながら生きている

ただ生きている

いっそのこと全て諦めて忘れて

ここでただ死を待てばいいものを

諦めきれずに気が付けばまた空を眺めている


そしてまた証拠にもなく

僕はノートを開いてペンで設計書に新しいアイデアを書き足している

神の設計書ではなくこれは僕の設計書

好きな色 青と黄色の布地を縫い合わせた球皮の中に

ガスバーナーで温められた風が送られ膨らみだす気球

燻っていた情熱は何度冷やされてもまた熱を帯びて

僕の頭の中を創造力が満たして今にも飛び立ちそうになる

熱気球のように


地面から足が離れる時

つまり浮遊する時に必要なことは

力を抜いて想像力に身をまかせること

恐れないで

心無い言葉にせっかく溜めた

球皮の中の熱波を冷やさせないで

飛び立つよ

もう飛び立つ

僕は僕の空を

あなたはあなたの空を漂う

熱気球










好きな色を縫い合わせて作ったバルーン

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