第3話 希望
美しく光る蛍追って洞窟の中に迷い込んで
どれくらい経っただろう
闇の中を右往左往
すり減った靴底 穴の空いたジーンズ
恐怖で頭から滲む油汗
苛立ってついた悪態が
洞窟の中を反響して
重なり 混ざり合い
できた悪魔のコンサートホール
通りすがりの炭鉱夫は言った
こりゃ酷い 俺はロックはよく聞くがこれは聞くに絶えないね
それと君 人の話を聞く時は 目を開けてないと失礼だよ
夜明けを迎えたアサガオの蕾のようにゆっくりと開き出す瞼
冬の空の星達のように浮かんだ蛍達の作る天幕
その光が水面に反射してできた青白く光る湖
彼らはこれまでの長い道程も照らし賛美する
来た道を振り返ってみると
闇しか存在しないと思えたこの旅路にも
美しい花が数本
静かに咲いていて
こちらに向かって頭を振っている
しばらくして光が消え
また長い闇が訪れると
馬鹿に呑気な口笛が洞窟に響いた
慌てはしない
今は見えなくても 君達はすぐそこにいるのだから
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