第80話 抗体ナノマシーン
ショウ「頼み事。。ですか?」
オンジ「あ、そうだった。」
クレピオス「ええ。」
ショウ「何でしょう?」
クレピオス「ふたつあります。」
クレピオス「ひとつは、このオンジから私へナノマシーンウイルスの耐性能力を移譲するのに治癒の魔法をお願いしたいという事です。」
クレピオス「今のままでは私自身が患者に接触する事すらできません。現在、感染者は全て地下に隔離している状態なんです。」
ショウ「あぁ、そんな事でしたらいつでも。」
クレピオス「それは有り難い。」
ショウ「もうひとつは?」
クレピオス「貴方の抗体はオンジとは別で独自に生み出したものだと聞きました。」
ショウ「そうみたいです。」
クレピオス「そのあなたの持っている抗体とオンジの抗体を見比べたいのです。」
ショウ「どうやって見比べるんですか?」
クレピオス「無害な検査用のナノマシーンを二人に投入します。このナノマシーンは他のナノマシーンの構造や働きを調査して結果を送信します。その後は被験者のナノマシーンに駆除されて終わります。」
ショウ「わかりました。それも協力します。」
クレピオス「ありがとうございます。感謝いたします。」
こうして、ショウはナノマシーンウイルス血清剤の開発に協力した。
その間、特に何をするでもなく
一方アナトはと言うとオンジからクレピオスへのウイルス耐性移譲の後、共に地下に入り、サークルアンデッドの被害者達の様子を見て回ったり、クレピオスの研究資料を見たりしていた。
そして1週間後
診察室にて
そこにはクレピオスと彼に呼ばれた他守、そしてミネルバとアナトの姿があった。
後、呼ばれていないが
クレピオス「他守さん。お知らせしたい事があります。」
ショウ「どうかしました?」
クレピオス「オンジタイプの血清剤の試作品が出来ました。」
ショウ「思ってたより随分早いですね。」
クレピオス「いえ、これはオンジから抽出した抗体を元にしたものでまだ効果が期待値に達していません。それに量産性にも欠けます。」
ショウ「そうですか。。」
クレピオス「この後、これを試験的に感染者に投与したいのですが。。」
ショウ「それも何か問題が?」
クレピオス「ええ。。これはとても不安定で脆いのです。」
クレピオス「恐らく治療は厳しいかと。。」
ショウ「そうなんですか。。」
クレピオス「しかし、それを打破する方法も同時に見つかりました。」
ショウ「本当ですか?それは一体どんな?」
クレピオス「他守さん。検査の結果、貴方の抗体ベースの血清剤は抗体自体が強すぎて私には扱えないことが分かりました。」
ショウ「そうなんですか?」
クレピオス「ええ。強すぎてもし他の者に投与したらその者はウイルスは駆除できてもナノマシーン自体が暴走してしまうでしょう。」
ショウ「なんか。。すいません。。」(苦笑)
クレピオス「しかしその抗体の一部のチカラさえあれば私の作った血清剤の欠点が補えます。」
クレピオス「それは、本人のナノマシーンと共生して抗体を安定させ、自己増幅する能力です。」
クレピオス「私の作った血清剤ではウイルスを倒しきる前に本人のナノマシーンにより駆除されてしまいます。」
クレピオス「サークルアンデッドのナノマシーンウイルスはそれが異物であると本人のナノマシーンが認識しません。これが治らない原因です。」
クレピオス「そして私の作った血清剤の抗体がウイルスを攻撃すると本人のナノマシーンがウイルスの方を仲間と誤認して守ります。」
ショウ「なんかスパイみたいですね。」
クレピオス「はい、便宜上抗体と呼んでいますが実際は血液中のナノマシーンです。これはナノマシーン同士の戦いなんです。」
クレピオス「ですので厳密には私の作った血清剤にいるナノマシーンに貴方のチカラの一部を移譲して頂ければと。」
クレピオス「恐らくそれで私の作った血清剤のナノマシーンも投与された本人のナノマシーンと共生可能になります。」
クレピオス「つまりに貴方のナノマシーンのチカラの一部を血清剤のナノマシーンに授けると言うイメージです。」
クレピオス「そしてさらに出来上がったその抗体ナノマシーンは培養可能になる筈です。」
ショウ「なるほど。。。何となく分かりました。」
アナト「ちょっと待て他守、移譲して大丈夫なのか?」
ショウ「もうすっかり大丈夫だよ。心配ない。」
アナト「しかし。。」
アナトは不満そうだったがショウはクレピオスの申し出を受ける事にした。
ショウ「早速やりましょう。」
クレピオス「ありがとうございます。」
そう言ってショウとクレピオスが握手した時、診察室に一人の男が入って来た。
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