第76話 本当のミネルバ
ショウ:そう。。ゲームの中のミネルバは気位ばかり高くて嫌な感じの女だった。
ショウ:その気位の高いばかりの彼女に『弱点』を無意識に望んだ結果が今までの彼女を形成していたんだ。
ショウ:虫嫌いだってゲーム内でそんな設定なかった。昆虫系のモンスターとだって普通に戦っていた。
ショウ:今までミネルバのせいで色々おかしな事になってたのは俺がアンバランスな状態で彼女を呼び出したからだ。。。
考え込んで黙り込むショウにアナトは
アナト「どうした?やはりミネルバに何か問題が?」
ショウ「いや、そうじゃないんだ。むしろこっちの方が本当のミネルバなんだ。」
アナト「本当の?」
ショウ「そうだ。以前のミネルバは俺も不慣れだったしあの状況で慌てて出したから不完全だったんだ。」
ショウ「それで俺が一度死んだ時、ミネルバも一度リセットされてゲームの設定に完全に忠実な状態に再構成されたんだ。」
ショウ「それに色々酷い目にあって無意識にこれまでのミネルバを心のどこかで否定してしまったのかも知れない。。。」
ショウ「俺は彼女を勝手に創り出して勝手に消してしまったんだ。。」
アナト「じゃあ今のミネルバは。。。」
アナトは何か言いようもないモヤモヤした気持ちになった。
ショウ「。。。。」
ミネルバ「何だか知りませんが
ショウ「それはそうだけど。。」
しばらく沈黙が続いた。
神妙な二人を他所にミネルバはさもどうでもいいといった感じでため息をついた。
そしてその沈黙を破ったのは聞こえるか聞こえないかの音量の
アナト「。。。そうだったな。。済まない話が
アナト「他守、その話はまたの機会にしよう。
ショウ「そう言えばここへ来て最初にバアルにもそんな事を言われたよな?」
アナト「そうだな。青の研究施設は『青の洞窟』と言う海底洞窟を抜けたところにある周りを断崖絶壁で囲まれた島、青の孤島にある。」
ショウ「青の孤島。。?」
アナト「そうだ。かつてはそこが氷に閉ざされた海の底と地上を繋ぐ青の洞窟の関所だったが今はイシュタラによるナノマシーン研究機関になっている。」
アナト「
そして、またショウの方を熱い視線で見つめた。
ショウ「ハハ。。よ、宜しく。。」(苦笑)
ショウ:か、顔が恐い。。。
アナト「よし、では早速行こう。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
人魚の里からイシュタラの国を背にして数キロ程の距離に海底から見ても断崖絶壁に囲まれた場所がある。
その海底近くに青の洞窟と呼ばれる海底洞窟はあった。
この洞窟は温泉の源泉が湧き出る場所でもあり、氷河期でも凍ることなく地上へのルートを確保していた。
かつてそこは地上からの防衛の要の砦でもあった。
その為、洞窟と外界をつなぐ道を塞ぐかの様にイシュタラの国の壁と同様の空間を歪める壁が施されており、その壁に侵入した物はイシュタラの国の壁とは違い反対側に抜けるのではなく入った場所に抜け出る仕様となっていた。
ショウ達は一路そこを目指して泳いだ。
すると、しばらくしてホオジロザメのチビ太がアナトに気が付いて寄ってきた。
ショウ「あれは。。」
チビ太は嬉しそうにアナトの所まできてすり寄る。
アナト「チビ太、青の洞窟まで引っ張ってくれるか?」
アナトに頼まれてチビ太はまた嬉しそうにクルクルと回りアナトの前まで来て止まった。
アナト「皆、チビ太の背びれに掴まれ。」
ショウ「も、もう噛んだりしないよな。。?」
アナト「フッ。。さあな。」
ショウは苦笑いをしながら
ショウ「そこは『大丈夫だ。』って言う場面だろ?」
と言いつつ人面魚のメタモルフォーゼを解いてチビ太の背びれに捕まった。
そして
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます