第71話 雨降って地固まる

ショウ「ごめん。心配かけたみたいだね。。」



ショウ「もう大丈夫だ。」



そう言ったものの、あの心の中の声の言葉に不安を覚えるショウだった。



ショウ:じいちゃんがどうとか言ってたな。。夢?じゃないよな?



アナト「?。。どうかしたか?」



ショウ「いや、何でもない。」



アナトは何となくモヤモヤした感じがしたがヤムが話に入ってくる。



ヤム「失礼、移譲の件ですがやはり連続は厳しいと言う事で宜しいですか?」



ショウ「いや、さっきのは別の理由で。。」



アナト「別の?」



ショウ「何か。。。何か上手く言えない何かに横やりを入れられた様な。。?」



ヤム「まさか、エンキの?」



バアル「何!?」



その場に緊張感が走った。



シーンと静まり返る。。



アナト「サークルアンデッドの施設で何か仕込まれていた?。。とか?」



アナト「そうなると私も危ないか?」



ショウ「い、いや。そう言う訳でもないと思う。」



ショウ「生まれ付きの何か。。。そんな感じだった。」



アナト「?」



ショウ「と、取り敢えず移譲の続きをやろう!」



バアル「いや、それは。。」



アナト「他守、流石にあれを見た後にすぐ移譲はないだろう?せめて少し休んでくれ。」



ショウ「大丈夫だよ。心配ならもう一人、ミネルバの様なNPC(フェイス)を呼び出そうか?」



アナト「そう言う問題じゃない!」



少し怒った様子のアナトにショウは驚く。



ショウ「ご、ごめん。でも、ホントに大丈夫だから。」



アナト「今はとにかく休んでくれ。お願いだ。」



ショウ「。。。分かった。」



その返事を聞いてアナトはようやくホッとした様子だった。

 

そこに囚われの剛本も割って入る。



剛本「待ってくれ。移譲が中止になる場合はやはり人間殲滅が再開するのか?」



ヤム「その選択肢はありませんね。」



ヤム「外でもないアナト殿に続けてバアル殿の強化が出来る機会です。それに、これ以上イシュタラの民が割れるのは私としても不本意です。」



ヤム「それでも私と敵対しますか?」



剛本「人間殲滅を中止するならその必要はない。」



ヤム「宜しい。しかし、君はこのまま拘束させてもらいます。」



剛本「。。。」



ヤム「君に少し話があります。」



剛本「話?」



ヤム「ま、君の行動は色んな意味で無駄ではなかったと言うことですよ。」



剛本「ひとつアンタに聞きたい。」



ヤム「何ですか?」



剛本「俺は昔、親父をイシュタラに殺された。セラフィールドでだ。」



剛本「そして俺はその私怨を超えてここに来た。」



剛本「アンタはそのイシュタルが死んだと言う私怨を超えて話が出来るのか?」



ヤム「それは無理でしようね。」



ヤム「我々は常に被害者だった。」



ヤム「この海を死の世界に変えられた件にしてもね。」



ヤム「当時、セラフィールドでは自然に海へ崩落した核廃棄物以外にも地上にある多くの危険な核廃棄物をコンクリート詰めにして海に沈める計画をしていた。」



ヤム「そして実際に多くの工事関係者や技術者が集められていた。」



ヤム「あなたの父親もそこにいたのでしょう。」



剛本「。。。」



ヤム「そしてまた、今後未来においてもいつその様な蛮行をするかも分からない種族なのです。」



ヤム「しかし、エンキと言う存在がある以上は敵の敵は味方と言う考えは出来ます。」



ヤム「現時点ではですがね。」



剛本「敵の。。敵。。か」



ヤム「それ以上の関係になりたくば先ず変わらなければならないのは人間の方だとは思いませんか?」



剛本は言葉をなくした。



ヤム「今日はここまでです。後日、今度は私から話をします。」



ヤム「バアル殿、議員の方々は拘束を解いて下さい。」



ヤム「もう、争う理由はないでしょう。」



バアルは頷くと剛本以外の拘束を解いた。



アルル「すまない。我々は少し貴方を誤解していた様だ。」



ウル「私欲でそうしていたのではないのだな。」



ヤム「私も少し頑なになり過ぎていました。」



ラガシュ「我々は早まったのか。。」



ヤム「いえ、この様に良い結果を生めたのは皆がそれぞれに真剣にイシュタル様に忠誠を尽くし、このイシュタラの民を愛して行動しておられるからでしょう。」



エリドゥ「。。。お恥ずかしい限りです。」



ウンマ「ワンにんまきらんあちゃーから。。」


言葉の意味は分からないがとにかくウンマはとてもダンディな声だった。



ヤム「それでは他守君の事はアナト殿に任せて我々はこれで退きます。」



そう言うとヤム達は剛本を手のひらに軽々と乗せて去っていった。



その後ろを小狐のポン太が慌ててついていった。



後にはエリドゥとアナト、そしてミネルバとショウが残った。


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