第50話 森の住人

森の影「よそ者だ。」



森の影「ああ、よそ者は災いを呼ぶかも知れん。」



森の影「何しにきたんだ?」



森の影「この森に害なすのか?」



森の影「それが判ってからでは遅かろう?」



森の影「待て待てフワワ様にまずはご報告じゃの」



森の影「いやいや。フワワ様のお手を煩わせるような事態ではなかろう?」



森の影「確かに。。」



森の影「ところであの猫はなんじゃろう?」



森の影「猫?そんな物が何処にいる?」



森の影「は?よそ者を森に案内しているではないか。」



森の影「そんなものはおらぬ。」



森の影「おらぬ?」



森の影「何を言う?皆は見えないのか?」



森の影 ヒソヒソ。。。







剛本「おい、エルヴィンと言ったな。」



エルヴィン「ようやく名前を呼んでくれたね。」



剛本「。。。このヒソヒソ言っているのは何だ?俺たちは監視されたいるのか?」



エルヴィン「森の住人さ。」



エルヴィン「この森に住むのは動物系のイシュタラが殆どかな。」



エルヴィン「彼等は臆病で用心深いんだ。」



剛本「警戒されてるって事か。。」



そう言っている間に剛本達は森の中の川に出た。



剛本「潮の匂いがしないな。。。」



剛本は河原の大きな石に飛び乗るとその透き通る水を口に含みハッとした。



不思議な事にこの川の水は真水なのだ。



ここは海の底だと言うのにである。



それにどこを見渡してもここはまるで小さい頃に見た図鑑や教科書に載っていた旧世界の風景そのものだった。



空には鳥も舞い、遠く川上には水辺に集まる動物達の姿もある。



草木には昆虫達、川には小魚が泳ぐ。



地表が全て氷に覆われていた時もここはずっとこうだったのだろう。



ここには要らないものは何もなく全てが調和しているのだ。



これだけの物を海底に作り上げたイシュタルに剛本は畏敬の念すら覚えた。



少し物思いにふけってから剛本はエルヴィンの所に戻り訪ねた。



剛本「この森を抜けるにはどの位のかかる?」



エルヴィン「森の守護者フワワのいるレバノン杉のエリアを迂回するから何もなけれは10時間ぐらいかな。」



剛本「そうか。。ところでそのフワワというのはどんな化け物なんた?」



エルヴィン「わ!化け物とか言うなよぉ」



森の住人に聞かれたかと焦るエルヴィン。



そこへ一匹の見た目は可愛らしい小狐が現れた。



小狐「よそ者よ、言葉を慎め。」



エルヴィン「あちゃぁ。。」



剛本「。。。お前は?」



小狐「わしは森の住人、ポン太と申す。フワワ様を化け物呼ばわりするとは何事じゃ。」



剛本「。。すまない。悪気は無かった。」



小狐「ヌシ達は何故この森に来たのじゃ?」



小狐「特にそこの猫!お前は何だ?何故わしにしか見えない?」





小狐の登場に森がざわつく。。



森の影「おいおい。。ポン太の奴一人で勝手に接触しおったぞ。。」



森の影「勝手な事をしおって。。」



森の影「やはりフワワ様に早くお知らせをせねば。。」



森の影 ヒソヒソ。。。





猫「そうか。。君もオイラが生きていると思ったんだね。」



ポン太「どう言う意味じゃ?」



剛本「エルヴィン。俺にもちゃんと説明してくれ。お前は何なんだ?」


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