第46話 剛本の旅立ち
試練に成功した剛本はイシュタラの国の入口に立っていた。
そこは一面に草が生い茂り、剛本のいる所から森を望み街の方に一本道が伸びている。
その脇には街路樹が点々と規則的に生えていた。
彼方にそびえ立つ神殿と周りの街は森の頂の上から悠然と四方を見渡していた。
草原には密閉空間なのにそよ風があり、中にいると神殿の光だけではなく外壁も光を放っているのが分かる。
そしてあたかもここが地上の世界にいるかの様な、そんな錯覚を起こさせる。
そのそよ風の中でバアル、アナト、剛本の3人の空気は不安定に揺れていた。
剛本「俺はイ特の隊員だ。見つけた仇をこの手にかけるかも知れない。それでも疑わないのか?」
バアル「君は女神の門に認められてここにいる。」
バアル「よってこのイシュタラの国の中での行動は法に背かない限り自由だ。」
剛本「背いた場合は?」
バアル「もちろん拘束して裁く。」
バアル「しかし、そうはならないだろう。」
剛本「何故言い切れる?」
バアル「私は女神の門の判断を信じている。」
バアル「門が認めたならそれは母の意思に等しい。」
剛本「。。。」
バアル「だから私も君を信じよう。」
アナト「兄様。。。」
バアル「アナト、解るだろう?」
アナト「。。。はい。」
それでも納得のいかないアナトは剛本に言う。
アナト「今は兄様の言う通りにお前の行動を看過する。だがイシュタラの法に背いた時は私は容赦しないものと思え!」
そう言うとアナトは赤いオーラを出した。
猛烈な威圧感に剛本は自身の皮膚がピリピリとするのが解った。
剛本「。。。そうはならない事を祈るよ。」
バアル「アナト。。いけないよ。」
アナト「。。はい、兄様。。」
バアルに言われてようやくアナトは威圧をやめた。
バアル「さ、アナト!僕たちは神殿に報告に行こう。」
バアル「剛本君。また会おう。」
アナト「。。。」
二人は剛本を残して忽然と姿を消した。
神殿に飛んだのであろう。
一人残された剛本は森へ続く一本道を歩き始めた。
その足取りも表情も決して重くなかった。
しばらく行くと道端に猫が倒れていた。
死んでいるのだろうか?
それとも生きているのだろうか?
猫はピクリとも動かない。
剛本はその猫の前まで来て立ち止まった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一方、ショウの方はと言うとちょっと困った事になっていた。
青ざめるメロウとミネルバ。
ミネルバ「tamori。。。」
メロウ「ど、どうしてこんな。。?」
ショウ「。。。。」
ショウ「俺はどうやらスライムになってしまった様だ。。。」
メロウ「こ、これがスライムだと言うの。。??」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます