第14話 召喚士ミネルバ姫

絶え間なく突き刺さる機械人形の無数の爪。



羽交い締めで動こうにも動けない。



驚異的な治癒力を見せるショウだがそれでも追いつかない程の速さと威力で攻撃は続く。



ショウ:こ、このままじゃまずい。。。



ショウ:アナトも戦闘不能のままか。。?



ショウを羽交い締めにした機械人形の無数の爪のせいでショウからはアナトの様子が掴めなかった。



ショウはアナトに直接会話を入れた。



ショウ→アナト:アナト!アナト!?どうなってる?



アナト→ショウ:他守か。。全身が焼ける様に熱い。。さっき空気がおかしかったのもあるが防御能力が下がっているのに苦し紛れにティアマトリンクを使った攻撃をしたので被爆したらしい。。おかげで空気に混じった何かは消し飛んだが。。



ショウ→アナト:被爆。。そうか。。そうだったのか。。



アナト→ショウ:お前もあの空気にやられていたし被爆もした筈だが。。たいした回復力だな。。私はもう少し掛かりそうだ。。



ショウ→アナト:アナト少し休んでいてくれ!何か出来る事を探してみる!



とは言ったものの正直言って動けないし攻撃は痛いしハッキリ言ってノープランだ



しかしショウは自分が奮起すると心に決めた。



ショウ:な、何か方法は。。?コントロールパネルは!?。。出た!



一か八か試したコントロールパネル。



さっきまでは開く事すら出来ながったが激しい戦闘による衝撃で施設側のシステムが一部ダウンしてショウのインプルにかけられていた制限が一部外れた様だった。



どうやらインプルから直接アプリにと言うよりは外圧としてDOS攻撃の様な攻撃でオーバーヒートさせてインプル自体をダウンさせているらしい。



ファーストアドベンチャーのコントロールパネルは開いたものの、パネルのナビゲーションメニューはグレーアウトしてボタンの押せない状態だった。



ショウ:クソっ!メニューが全部死んでいる。。



ショウ:何か使えるものは。。?



グレーアウトしているメニューを一つずつ押すも不活性なボタンは何も反応しない。そんな中で一つ押せるボタンがあった。



ショウ:やった!マスクが使える!



※マスクとはゲーム内で呼び出せるNPCである。レベルは呼び出した者のレベルと同じになる仕組みでパーティーメンバーが揃わない時などに補充戦力として利用出来る。



ショウが『マスク』のボタンを押すとサブメニューとして使えるキャラクターの一覧が出た。



ちなみにショウのよく使っているマスクはこんな感じ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

トリル 王子 ナイト 戦士

シャンプー 大魔法使い 黒 白

ミネルバ 姫 召喚士 白

影丸 忍者 忍者 戦士

ゾーム 魔王 ???



余談だがショウはtamoriの基本設定としてリザードマンとオーガとその他亜人の国デミューズ出身という設定でゲームをしていたが連れているマスクは人間とエルフとドワーフの国ヒュムリアのキャラクターを好んで使っていた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



しかし、折角表示されたこちらのマスク一覧もやはり不活性でどれも名前が選択できない。



焦るショウは諦めきれず押せないボタンを何度も押した。



ショウ:頼む!出てきてくれ!



ショウはすがる気持ちで最もよく使っていた召喚士ミネルバを連打するとようやくボタンが反応してミネルバを呼び出す事に成功した。



ショウ:キタ!!よーし!天の助けだ!



機械人形の後ろにとても戦闘をする様な格好には見えない優雅な白いドレスにキラキラと輝くティアラ。白いブーツに肘近くまであるロングホワイトグローブのアナトと同じ位の年齢に見える金髪で青い瞳の少女が現れた。



https://33740.mitemin.net/i509251/



髪はロングだが邪魔にならない様にキレイに三つ編み束ねてシニョンスタイルになっており両サイドからまた小さな三つ編みで巻かれている。



凛々しく気品のある顔立ちだがどこか生意気そうな幼さが残る姫様。そんな感じのキャラクターだ。



ゲームの設定ではヒュムリア王国の姫であり、ファーストアドベンチャー18では数々のミッションで冒険者に幾度も助けられて信頼関係にあるも冒険者への好意を隠す為にわざと偉そうにしてしまう。。といったイメージのNPCだ。



もちろんNPCなので頭の上にはMinervaと青く名前が輝いている。



ミネルバ「tamori、わたくしをこんなむさ苦しい場所に呼出すとはどう言うおつもり?」



ミネルバ「あれ?tamori?」



ミネルバ「呼び出しておいておらぬとは何事か?」



騒がしくショウを探すミネルバに気がついた機械人形は、その不気味な面で振り返る。



ミネルバ「うわ。。気持ち悪いー。。まさかわたくしがこれの相手を。。?ないですわ。。帰っても宜しいかしら?」



機械人形「お前ナニ?!ナニ!?俺はデン助ッテンダゼ!?」



ミネルバはいかにも嫌そうに



ミネルバ「ちょっと!こちらを見ないで下さいます?汚らわしい。」



機械人形「何だお前?俺を馬鹿にしテンのか?デンと任せランねえのか?」



ミネルバ「言っている意味が良くわかりませんが馬鹿になどしておりません。気持ち悪いと言っているのです。」



機械人形「なんだ?腐ったもんでも食ったのか?俺にデン!とまかせとけ!」



ミネルバ「?」



機械人形「この爪で食った腐ったもんほじくり出してヤローか?デンとほじくり出してやるよ!な!?」



ミネルバ「。。時間の無駄ですわね。。さっさと終わらせますわよ。」



と、さも早く帰りたそうに早々に召喚魔法詠唱ポーズに入った。



通常の魔法詠唱とは異なり本人の足元ではなく少し離れた所に大きな魔法陣が現れる。

召喚士からは淡い光と周りにエメラルドグリーンの精霊の御霊の光がいくつも現れてミネルバの周りを回る。



まるで舞っているかのような優雅な詠唱ポーズに導かれるかの様に魔法陣の上に機械人形を上回る巨体に悪魔の様な翼と古代魚の様な硬い金属質の鱗(うろこ)を持つドラゴン、バハムートが空中に浮かび上がるホログラムの様に現れて大きく口を開き、地響きのする様な雄叫びと共にその姿を安定させた。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇

その様子をモニターで見ていた金森は立ち上がって喜んだ。



金森「これは凄い!彼はNPCを具現化したぞ!」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る