第2話 戦闘!!

 ロボじゃない…最初の感想がそれだった。俺の今乗っているこの帆の代わりに側面についたプロペラで空飛ぶ船。突然現れた所を見るとこれが神様のいう特典というやつなのだろう。


「まぁでも前向きに捉えよう。なんかよくわからないけど生きてるし。飛行機とか乗るの好きだったし。」


 生きているだけで儲けものだ。そう考えることにした。そうやって俺が前向きに考えている時、俺を呼ぶ声が耳元からする。


「勇気様!」


「うおお!」


 びっくりしたぁ!突然耳元で大声で叫ばれた。叫んだ声の主は、背中に美しい白い本物のような羽を背中に、美しく長い羽と同じ色の白い髪を持っている少女だった。まるで天使のようなその姿に息を呑みながらこう尋ねる。


「は、はじめまして、て、天使様?ですか?」


 緊張でこんなことを口走ってしまう。いやコスプレイヤーかもしれないだろ?俺!

 それを聞くと少女は顔を綻ばせる。


「それに気づくとはさすが!勇気様ですね!私はエル!神エルエリオンに使える天使です!」


 て、天使やはり天使だった!俺は間違っていなかった。そうだよな神様が言ってたガイド役をつけてくれると。何がコスプレイヤーだバカヤロー。

 そうと分かれば聞きたいことがあるのだ俺は!


「ここってどこ何ですか?エルさん。」


「敬語じゃなくていいし!呼び捨てでいいですよ!勇気さん!ここは異世界リナトリオン!貴方のいた地球とは違う世界なんですよ!」


 やっぱりそうなのかそんな気はしていたのだ、何せこんな自然豊かな大地見たことがない。


「えっとエルさ…エル!俺は何でここに呼び出されたんだ?なんか理由があるはずだよね?」


「それは…」


 エルが口を開き説明しかけた時だ。ゴゴゴと山が鳴り響く。


「なんだ?!」


 エルは「まさか」と呟きこの空飛ぶ船の外を見る。大地には信じられない光景が広がっていた。巨大な、タコ?いやあれは漫画やアニメで見たことのあるドラゴンだ!タコの触手のように見えたがよく見るとその触手の先にワニともトカゲとも取れる。ちょうどその中間に当たるような頭がついていた。


「あれは!多頭龍!なぜこんなところに!」


 エルがそう叫ぶ。空飛ぶ船はかなりの高度で飛んでいるはず…なのにこんなにもハッキリと見えるなんてどれだけでかいんだ。恐らく山が鳴り響いていたのはやつが現れていたせいだろう。するとドラゴンはこちらに気づいたのか口から火の玉を吐き出す。


「なんだ!?」


 驚く俺をよそにドラゴンの炎が空飛ぶ船に直撃した。衝撃で船が揺れる。


「行けません!勇気さん早く逃げないと!ブリッジに行って操縦を!」


「操縦?でも俺は…」


 そう言ってる間に2撃目が着弾する。ああもう!つべこべ言ってる場合ではないとにかく。俺はブリッジへと急いだ。

 そして俺の目の前に広がるレバーや舵、何一つ分からないしかしとりあえず。俺は舵とレバーを握ってみた。

 その時だ、なぜかは分からないが操縦方法を直感で理解できた。まるで頭の中にインストールされるかのように。


「なんか、分からんが!すげー!」


 そう言いながら俺はレバーを倒す。空飛ぶ船をそのまま雲の中に隠して、俺たちはなんとか絶体絶命の危機を乗り切った。


「はぁ…はぁ…すごいなこの空飛ぶ船!エル!この船なんていう乗り物なんだ!?」


「飛空挺と呼ばれる、この世界では移動手段のほか軍事用としても使われる、乗り物です!」


「飛空挺って言うのか!カッコいい!」


 俺はこう言うのに弱い。昔から機械は好きだった。ロボットアニメとか、あと特撮とかも。だからこういう浪漫の溢れる機械は見るだけで、興奮してしまう。

 だがそんな暇はないと告げるかのように、下からあの怪獣の、咆哮が響きわたる。ちょうど雲が途切れ再びあの怪獣の姿が見えた。


「あ!」


 怪獣はターゲットを俺たちから別のものに向けたようだ。怪獣が木々なぎ倒しながら進む。その先に集落のようなものが見えた。人だ、人が住んでいるんだ!


「エル!この船に武器ってある?!」


「はい大砲が、左右に8門ずつ!しかし勇気さんいったい何を?」


 ならそれであの怪獣を止めるしかない!あの巨大なドラゴンを!


「ドラゴンと戦うんだ!あのドラゴン。よく見たら集落に向かってる!」


「何ですって!?」


 俺は、飛空挺を操作し怪獣の側面に船をつけた。


「これでもくらえ!」


 操作の方法はわかっている。どうやらこの船俺1人でも操作できるようにと神様が気を利かせくれたのか。大砲発射のレバーが存在している。俺はそのレバーを引いた。

 どういう原理かわからないが右側面にある、8門の大砲が火を噴く。そして全ての砲弾が怪獣に直撃した。

 砲弾の球はどうやら火薬の様なものが詰まっていたらしく。当たった瞬間に、爆発が起き、怪獣は煙に包まれた。


「やった…!」


 これで怪獣も終わりだろう。すると横で固まっていたエルが目に涙を浮かべながら訴えかけてきた


「勇気さん無茶はしないでください!この飛空挺は貴方の魔力で飛んでいるんです!今の大砲も全部!貴方魔力を球に変換したものなんです!」


「そうなの?!」


 初めて知った衝撃の、事実に驚きを隠せない。つまり俺の魔力とやらが尽きてしまえばこの船は落ちる。というわけか。


「幸い勇気様の魔力は膨大ですから大丈夫ですけど。あまり無理に使いすぎるとすぐにガス欠になってしまわれますよ!」


「肝に命じておきます…」


 しかし、結果オーライだ怪獣は倒せたし…

 と思った瞬間だった。煙のなかから何かが飛び出してきた。あの多頭龍といわれた怪獣の首だ、あった言う間にその複数の首は飛空挺を絡みとり、飛空挺の身動きを取れなくさせてしまった。



「まずい!」


 絡みついたドラゴンはそのまま口を開き、ブリッジに向け炎を吐いた。


「あっつ!」


 先ほどは火の玉の直撃を、防げたこの船だが流石にこれはまずいかもしれない、そう思った時だ。


「勇気様!改造をするのです!」


 エルの叫びが耳に入った


「改造?!」


「そうです貴方様が望んだこの船は魔力によって改造できると主はおっしゃられてました!イメージするのです。そうすれば魔力が船に変化を与えます!」


 そうかイメージ…イメージだったらこれしかない!この場を切り抜けるのはこれしか!


 俺はイメージしたこの場を切り抜ける最強の船を、すると船の船首が円錐状に変形する。それは鋼色をしていた。そしてイメージが必要ならロボットもの主人公よろしく必殺技を打つ様に叫んだ方がいいだろう。炎につつまれたブリッジの中で俺は叫ぶ。


「ドリルラムアタァァァァック!」


 ドリルが巻き付いていた怪獣の首を破壊して進む。

 そして船はそのまま炎を通りぬけ突き進み。怪獣の胴体に、風穴を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る