銀河

エレボスの息子なる渡し守の船は今

プロヴィデンス川の桟橋を離れ

天の大河なる星々の間を渡り行く


言祝いでください、この愚か者の試みを

銀なる冥府の河アケローンを渡り

再び戻り来ようとしている私を

金の冠をいただく使者に急かされて

ポケットに押し込んだのは二枚の銅貨

短くなった鉛筆、真新しいノート

それに飴玉と、不思議に熱を持つ銀の鍵


元のようにはならないかもしれません

しかし我々は今や知っています

永遠に横たわりつつ夢見続けるもののことを


そして私は何度も振り返りつつ

今や遠く過ぎ去った種々のものを

友情を、甘味を、或いは痛覚を思い

漕ぎ手なる使者の挽歌に耳を傾けるのです

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