勇者たちに見殺しにされたけど、もう気にしない。転生し直した日本で、襲い来る美少女宇宙人たちから『脱がし魔法』で地球を守ったらハーレムが出来たから

お餅ミトコンドリア@悪役貴族愛され勘違い

プロローグ(前)

「は? 今何て言った?」

 男は、思わず聞き返していた。

 聞き返された相手は、

 「ですから」と言いながら、先程の台詞を繰り返した。

「もう一度転生しないかと、聞いたのですわ」

 その言葉に、男は奥歯を噛み、険しい表情を浮かべる。

「それよりも、まずは、謝罪が先じゃないか?」

 そう言って、睨み付ける男。

 だが、長身の相手は、男を見下ろしながら、横柄に告げた。

「謝罪ですの? 何の謝罪をしろと?」

「――――ッ!」

 感情を逆撫でされて、男の怒りが爆発する。

「分からないなら、教えてやるよ!」

 男は、相手に詰め寄り、感情に任せて叫んだ。

「魔法使いとして異世界転生した先で、使える魔法が、『脱がし魔法』一つのみって何だよ!」

 四人目のパーティーメンバーが待望の魔法使いという事で、攻撃魔法を期待していた勇者・戦士・僧侶の三人の少年たち(全員現代日本から異世界へと転生した者たち)は、男は攻撃魔法が一切使えないという事を知り、失望を隠さなかった。今でも、あの時の三人の顔を思い出すと、胃が痛くなる。

「おまけに、普通は若返るもんだろうが! 三十路や四十路の男が、十代の少年に転生したり、場合によっては、八歳のショタだったり、それどころか赤ん坊だったりする事もあるんだぞ!? それが、何が悲しくて、四十歳のおっさんとして転生しなきゃいけないんだよ!? 『三十歳だったこの俺も、異世界転生のおかげで四十歳になれました!』――って、逆に老けてるじゃねぇかよ!」

 十代後半のパーティーメンバーの中で、一人だけ、四十歳。

 浮かない訳が無い。

 他の三人のメンバーが和気藹々と話していても、自分だけは、会話に入れなかった。

 苦い記憶を思い出しつつ、男は更に大きな声で、感情的に喚き散らした。

「極め付きは、このルックスだよ! 転生後の姿は、元々の容姿に準じるって、何だこの不細工に絶望を与えるためだけに考案されたようなクソルールは!? 折角違う顔になっても、不細工だったら意味ないだろうが! 不細工からブサイクへって、そんなマイナススパイラル誰も望んでないんだよ!」

 他のパーティーメンバーたちは、皆、イケメンだった。

 それはつまり、顔は違えど、転生前もイケメンであった事を示唆していた。

 童貞のまま三十歳を迎えて都市伝説通り〝魔法使い〟になった男と違い、一回り年齢が下の彼らは、既に〝勝ち組〟なのだ。

 男は魔法使いとして異世界転生し、今度こそはモテたい!と意気込んでいたものの、年は四十歳で、更に老けてしまい、顔は変われど相変わらずのブサイクっぷりで、全く女は寄り付かず、異世界でも童貞のまま死亡した。

「何なんだよこれは!? ふざけてんのか!? 喧嘩売ってんのか!?」

(言ってやる! 相手が神だろうが何だろうが、知った事か! 俺にだって、プライドがある!)

 心の中でそう思いながら怒りをぶつける男に対して、目の前の女性の姿をした神が、ぽつりと呟いた――

「そうですか。では、残念ですが、二度目の転生の話は無かった事にさせて頂きますわ」

「すいません申し訳ございません俺が悪うございました反省していますだからどうかもう一度転生させて下さいお願いします」

 ――直後、男は、光の速さで土下座していた。

(プライドよりも、命だ! まずは生きてなきゃ、何も始まらない!)

 神は、呆れながらも言葉を紡ぐ。

「……それでは、現代日本へと転生し直す、という事で宜しいですの?」

「はい! ありがとうございます! 車に轢かれて死んだ俺を転生させて頂いた御恩、一日たりとも忘れた事はありません! 更にその上、もう一度転生させて頂けるとの事! 幸甚の極みです!」

「……まぁ、それなら良いですわ」

 神は、「コホン」と咳払いを一つすると、仕切り直した。

「では、改めて。平戸橋ひらとばし らい。貴方を、再び転生させます。転生先は、現代日本です」

 全身が黄金色に光り輝いている神が大仰に両手を広げると、それに呼応して背中の翼が広げられ、頭上に光り輝く輪――光輪と後光が更にその明るさを増す。

「はは~! ありがたき幸せ!」

 平伏したまま、平戸橋頼――異世界ではライと呼ばれていた――が、恭しく応じる。

 実際、ライは、神が異世界転生させてくれた事に対しては、本当に感謝していた。

 ただ、先述のような不満が溜まりに溜まって、爆発してしまったのだ。

 特に、異世界での死に際は酷かった。

 ライが転生した異世界に君臨していたのは、〝鉄壁の魔王〟と呼ばれる存在だった。

 ライは、勇者・戦士・僧侶と共に、〝鉄壁の魔王〟に挑んだが、その名の通り、魔王の全身を覆う魔鎧マジックアーマーの防御力が強過ぎて、勇者たちがどんな攻撃を繰り出そうが、全くダメージを与えられなかった。

 防御力に比べれば攻撃力はそれ程強くはないものの、魔王だけあって他のモンスターと比較すれば十分な脅威であり、仲間が負傷する度に僧侶が回復するが、少しずつ勇者たちは体力と魔力を削られて行った。このままでは全滅は時間の問題かと思われた。

 そんな中、ライは、魔王の魔鎧を引き剥がそうと、『脱がし魔法』を連発したが、中々剥がすことが出来なかった。

 繰り返し『脱がし魔法』を発動し、最終的に魔力全てを使ったが、それでも足りず、命さえも削って魔法を使い続け、何とか魔王の身を包む魔鎧を引き剥がす事に成功した。そして、その隙に勇者たちが攻撃して、魔王を倒した。

 が、無理が祟って、ライは死んだ。

 しかも、勢い余って魔王の下着まで脱がしてしまったため、死の間際に見たのが、筋骨隆々の裸――魔王の股間――だったのだ。

 そのため、ライは、この世の全てを呪いながら死んだ。

 その怨念は凄まじく、そのまま放っておくと第二の魔王――しかも、倒した魔王の数倍は強い――になってしまいかねなかったため、日本から転生させた神が再び現れて、異世界から日本へと転生し直さないか、と提案したのだ。

 ちなみに、神は、ゆったりとした白い服を着た絶世の長髪美女であり、本来ならば、女性慣れしていないライは、しどろもどろになって会話どころでは無いだろうが、一度目の転生が余りにも酷く、怒髪天を衝く勢いであったため、今回はすんなりと会話を始める事が出来たのだ。

 実際、最初の転生の前――初対面の時には、神の美貌を見て緊張してしまったライは、転生に関して説明しようとする神に対して、

「あ、えっと、説明、とかは、良いので、その、もう、転生、お願い、します」

「そうですの? 分かりましたわ。では。コホン。平戸橋頼。貴方を、転生させます。転生先は、異世界です。是非とも、貴方と同じく異世界転生し、嘗て勇者よりも勇気があると人々から尊敬を集めた、の有名な大魔法使いキャルドンのように、勇猛果敢に挑戦して欲しいですわ」

 というやり取りを経て、最低限の説明すら聞かずに、転生をしてしまった。

 よって、きちんと説明を聞かなかったライにも、酷い転生をしてしまった一因があると言えなくもないが、彼としては、「まさかあんな見た目・年齢・能力で転生させるとは思わないだろうが!」と主張したい所だろう。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※


(※お読みいただきありがとうございました! お餅ミトコンドリアです。


新しく以下の作品を書き始めました。


【もしも世界一悪役ムーブが下手な男が悪役貴族に転生したら】

https://kakuyomu.jp/works/822139838006385105


もし宜しければ、こちらの作品も星と作品フォローで応援して頂けましたら嬉しいです。何卒宜しくお願いいたします!)

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