お腹が減っては戦は出来ません!
1人、事情を知らないクロウが聞いてきた。
「親父!シオンに何があったんだ?」
クロウの父親は辺りを気にして小声で言った。
「シオンちゃんは【歌人】なんだよ」
!?
驚いたクロウはシオンを見た。
「えへへ!なんかそうみたい」
「マジかよ………」
呆然とするクロウを置いて、後ろから見慣れない人がやって来た。
「ああ、そうだ!紹介しよう!最近、王都からやって来た冒険者で、村の危機を教えてくれたんだ」
その人物は白いローブを羽織り、口元をマスクで隠している出で立ちだ。(ちなみに、マスクはくノ一とかが口にする布地の感じです)
「こんにちは!知らせに森まで行ってくれてありがとうございます!」
「………いいえ、依頼されたから当然です」
声や体型から女性だとわかったが、顔が見えないと怪しく見えてくるんだよねー!
「お顔を拝見出来ませんか?」
「断る。事情があり素顔を見せれない理由があるのよ」
「では、お名前だけでも!」
「………名前」
これから盗賊団が襲ってくるかも知れない時に、素顔を隠した冒険者って怪しすぎるでしょう!?
「………私の名は【イオン】よ」
なんか涼しそうな名前だね!今年の夏は暑いからマイナスイオンのある森林とか探索したいね!
「私はシオンって言います!よろしくお願いしますね!」
「………私は魔法が使える。微力ながら頑張ろう」
イオンさんはそう言って歩いていった。う~ん………?私の考え過ぎだったかな?なんか怪しかったんだけど?
ごっちん!
「あいたっ!」
「初対面の方に失礼だろう!冒険者なんて色々な事情を抱えた奴が多いんだからな!」
クロウに頭を殴られ、頭をさするシオンにクロウの両親も自宅に戻っていった。
「なぁ?本当に大丈夫なのか?」
「私が頑張れば被害を少なく出来るからね」
クロウは一言、そうかと言って戦闘準備をするために1度別れるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらく経ち─
斥候の冒険者達が戻ってきた。
「良い知らせと悪い知らせがあります!」
冒険者ギルドでギルマスは悪い方から報告するように言った。
「王都から出発した討伐隊が全滅したとの事です!討伐に参加したザーコ子爵も私設軍共に討ち死にしたそうです!」
ざわざわ!ざわざわ!
「討伐隊っていうと300人は居たはずだよな!?」
「ザーコ子爵の私設軍も合わせればもっと多かった筈だろう?」
「………それが30人規模の盗賊団に全滅だと!?」
静まれい!!!!
ギルマスの声に辺りが静まりかえる。
「良い方の報告は?」
「はい!盗賊団の位置が特定出来ました。やはりこちらに向かってきています!明日の早朝には到着します!」
「よくやってくれた!皆も聞いた通りだ。どんなに急いでも今夜のうち闇夜に紛れての不意討ちは無くなった。見張りを立てて今夜は早めに休んでくれ。向こうの歌人の力は強大だ!しかし歌人の力がなければただの30人ほどの盗賊団に過ぎない!切り札はこちらにもある!安心して欲しい!効果も確認済みだ」
おおっ!!!!
ギルド内に安堵の空気が流れる。各々、武器の手入れをする者や雑談するもの、食事をする者達など別れた。そこへ、ギルマスが忘れていたと追加で話した。
「すまん!忘れていた。村の狩人から大物を仕留めたので食事の差し入れがあった。酒はほどほどにして大いに食べて英気を養ってくれ!」
おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
さっき以上に歓声が上がり、ギルド内のテーブルに料理が運ばれてきた。ただ飯と言われて、ここぞとばかりに、がっつく冒険者達だった。
「なぁ、シオン。ここにいる冒険者達で顔を隠している奴、どれだけいる?」
クロウの問い掛けに私は深々と頭を下げた。
「私が悪かったデス!申し訳ありません!」
冒険者には騎士ようにフルフェイスの人物や、ゴーグルをしている者、シーフ役でマスクをしている者達が多くいたのだ。本当にイオンさんには申し訳無かったです。
「ねぇ?事前に言っておいた工作は終わったの?」
「ああ、人員を総動員して完了させたぜ!」
「了解です!」
これで少しでも敵の数を減らせればいいな!
こうしてクロウの両親が狩ってきたお肉を食べながら英気を養うシオンだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「何を狩ってきたか載せるの忘れた………」
シオン
「定番のビックボアで良いのでは?」
愚者の声
「う~ん……大きな猪でも良いけど新しみがないなぁ~」
シオン
「だったらビックベアとかは?ビックオークとか?」
愚者の声
「なんでもビックを付ければ良いってもんじゃないよ!?」
『よろしければ感想、お気に入り、よろしくお願いします!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます