プロローグ2

冒険者ギルドからの帰り道……


「シオン!いつの間に冬虫夏草を採取したの?」

「あの、気分上げていこう!って言った時だよ。ちょうど見付けたからもっと探そうと思ってね♪」


「ちゃっかりしているのね」


ドヤ顔のシオンを無視してクロウはシオン達と別れる。


「今日はここでお別れだ。家の手伝いがあるからな!」


クロウの両親は【狩人】で、森で獣を狩っている。場合には食糧になる魔物も狩るので冒険者登録もしている。クロウも両親の手伝いで狩りをしているのだ。腕の良い狩人の為、シオンの父親から依頼される事もある。


「せっかく森の入口まで行ってたのにねー」

「まぁ、親父からは後から来れば良いって言われてたからな。今回は森の中の小屋に色々と物資を運ぶだけだし、すぐに帰れるからさ」


「今お昼だから夕暮れまでには戻りなさいよー?」

「ああ、わかってる!」


クロウが去った後、シオンとミリアは市場へ出掛けた。


「ぐっふっふっ!臨時収入も入った事だし、ちょっと贅沢しちゃうよ!」

「シオン、ほどほどにね?」

「了解でーす!」


村の北側には街道があり、そこから商人達が色々な商品を馬車で運んでくることで、自然に北側は市場が発展していき、いつも活気がある。冒険者ギルドの素材を買いに来る商人も入れば、日持ちする食べ物など運んで来る商人もいる。今日も市場は賑わっていた。


「おおっ!シオン嬢!美味しい果実が手に入ったぞ!サービスするからどうだい?」

「あら?シオン!良い肉が手に入ったのよ!買っていって~」

「シオンじゃないか!甘い菓子が手に入ったぞ!どうだ?」


いく先々で、シオンは市場の方から声を掛けられる。


「相変わらず市場の人々に大人気ねー」


ミリアはシオンの人気ぶりに呆れている。


シオンが市場の人々に人気があるのは理由がある。シオンは採取した珍しい素材をギルドに卸し、少くなくないお金を稼いでいる。


その一部のお金をこうして村のお店で買い物をして、村の経済を上手く廻しているのだ。


最初はそんな考えは無かったが、思った以上に大金を稼いでいるシオンは、市場などでどんどん買い物をすることで、村人達も裕福になり、さらに別の商品を入荷してもっと収入を得たりと、景気が良いのである。市場の人々はシオンに感謝していると同時に、沢山の商品を買ってくれるお得意様として大変人気があるのだった。


「よし!おっちゃん!このお菓子、棚にある分を全部買うわ!」

「おおっ!さすがはシオン嬢だな!大人買いしやがる。お買い上げありがとうよ!」


店主にお金を渡し、別のお店でも似たように大人買いをする。


「店が終わってからで良いので、いつもの所に運んでもらっていい?」

「もちろん!運んでおくよ!あっ、後はこれね!」

「あれ?これは?」


店主は暖かい目でシオンを見ていった。


「これはシオン嬢の分だよ。自分にもご褒美だ」

「ありがとう!」

「シオン、良かったわね」


シオンは満面の笑みでお礼を言うとその場を後にした。


シオン達が居なくなってから、市場の店主は隣の同僚に話しかけた。


「本当に【シオン様】は素晴らしい御方だよな」

「そうですね。冒険者ギルドで稼いだお金を私達に還元して、教会の孤児院に差し入れまで定期的に行っているのですからね」


「…………自分の分は後回しにしてな」


意外にも、シオンは村の事を考えて行動している訳ではなく、市場の商品を買い占めたからと言って今のシオンには、はした金ぐらいの散財にしかなっていないのは、ほとんどの村人は知らないのだ。しかし、その事実を知らない村人達は心から感謝しシオンを特別に扱わず、普通に接する事を心掛けている。


「あら?これ………」


そこにミリアがある露店に目を止めた。


「へいっ!いらっしゃい!」


大きな声で若い商人が色々な小物や武器類を並べていた。

ミリアが目を付けたのはアクセサリー類ではなく、武器類のコーナーであった。流石は武器屋の看板娘である。


「お嬢ちゃん、御目が高いね!それは手裏剣っていう飛び道具さ!投げナイフより飛距離があり、上級者になるとかなり正確に対象物に投げられるそうだよ!」


ミリアはマジマジと手裏剣をみて尋ねた。


「でも攻撃力は低そうね?」


ある程度重さはあるが、ナイフより軽くこれで獲物は倒せないだろう。


「これは複数枚を投げて相手を牽制する為の物さ。余り大きい声じゃ言えないが、毒を塗って使う者が多いみたいだ」


なるほど、これならナイフより多く持ち歩けるわね?毒を使って獲物を弱らせるか………良いわね♪


ミリアは手裏剣を有るだけ買っていった。実に満足のいく買い物のようだった。


「良い買い物をしたわ♪」

「………そだねー」


シオンは余り深く突っ込まない。無駄だとわかっているから。


買い物を済ませて、ミリアも実家の武器屋の手伝いがあるため途中で帰っていった。帰り際に、ミリアの武器講座が始まりそうだったのでシオンは早く帰れ!とミリアを追い払いシオンも自宅へと帰宅するのだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【後書き】


シオン

「なかなか前回の挿絵は良かったですわね」


愚者の声

「ははー!ありがたき幸せでございます!」

( ノ;_ _)ノ


シオン

「でも、今回は無かったですわよね?」



愚者の声

ギクリッ!


シオン

「貴方は執筆力が無いのですから挿絵でカバーしないといけないのですよ?わかっていますか?」

(*・・)σ



愚者の声

グサッ!グサッ!グサッ!


「毎回は無理で~す!」(泣)



シオン

「無理を可能にするのが小説の世界ではなくて?」



!?



愚者の声

目から鱗!

( ;∀;)



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