桃色不老婆~の金曜日。。。Ⅱ

姑兎 -koto-

昭和歌謡風だけれど月並みで普遍的な恋愛模様 -だろ?-

ルックスもステータスも…

貴方との恋愛は

私の唯一の優越感だった。

私は、それくらい

空っぽだった。



貴方の声は媚薬

貴方の言葉は魔法

いざなわれるままに

求められるままに


熱くなる肌と裏腹

冷めていく心

満たされていく体と裏腹

乾いてく心


幸せな夜は

うたかたの夢

それがわかっているから…。



「忙しくて会えない」

言葉のままに信じていた。


あの日までは。


ひとりぼっちの休日

出かけたロードショー

そこには…

知らない誰かに微笑みかける貴方がいた。


ガラガラと壊れていく優越感。

でも…

不思議と

悲しくは…無い。


ただ…

「さよなら」が怖くて…。


私は…

見つからないように、

パンフレットに目を落とし

映画館のシートに深く身を隠し

館内が暗くなるのを待って外に出た。


日差しにあふれた外の世界。

見慣れていたはずの街並みも

さっきまでとは少し違っていて…。

そこここに積みあがった思い出の欠片たちが

容赦なく私を傷つけて…。


太陽がまぶしかったから…。


少しずつにじんでいく景色。

それは…

白いカーテン越しの

世界の様で…。

好きだったはずの「貴方」も

遠くかすんで…。


それでも…


声を聞くたびに

言葉を聞くたびに

私は、いそいそと出かけていく


それは…

わずかばかりの残り火を

失いたくなかったから…。



「それは、ただの執着だ」

「愛と執着は違う」

したり顔で『とも』は言う

幼馴染の『とも』の言葉は

いつも容赦ない。


そして…


少し、黙った後、

いつになく真剣な声で

「僕じゃダメかな…」と。


「え?」

一瞬、止まった時間。

見つめあう二人。

『とも』のまなざしは

瞬く間に時計の針を巻き戻し…。


無くしたくなかったから…

『とも』は友達のままで…

それでいいと…。

忘れたはずの想い。


あの日止めた時計が

優しく

時を刻み始め

空っぽな心が満たされていく…。


そうだ…

いつも、いつも…

孤独の淵に佇む私を

抱き上げてくれていたのは、

『とも』だった。




驚く貴方に叩きつけた

「さよなら」


一人見上げた夜空に

フルムーン。


幸せな夜…


ほんとうのラブソングは

これから…。



ーミカンの缶ー  基  -未完の完ー  いぁ  -未完だけど完ー




ー参考ー


「恋一夜」工藤静香さん

「ロードショー」古時計

「異邦人」さだまさしさん(カミュかな?)

「破」さだまさしさん



ー後記ー


「ねぇ いつから? 中学の頃 他の子と付き合ってたじゃん」

「いぁいぁいぁいぁ そんな昔の事持ち出す?今?」

「だって… もっと早く言ってくれたら…」

「言ってたら、見せかけの恋愛には走らなかった?」

「・・・」

「だろ?」



















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