第2話「やっぱり強いね相生さん。」

シューティングゲームに没頭する彼女は鉄仮面の相生哀あいおいあいだった。


「……」

「……なに、広山くん。」

「相生さん。ゲーセンとかくるんだね。」

「来ちゃだめなの。」

「いや、意外だなーって……。」

「そ。ごめん。集中するから。」

 素っ気ない。

 素っ気ないぞ、鉄仮面。

 そんな風に素っ気なくされると逆に燃えてきて、インファイトしたくなるのが、俺だ。


 チャリンチャリン

 一回200円でこのゲームは2Pまでできる。

「ちょっ……」

「2人でやると楽しいよ!?」

「広山く」

「ほらそっちゾンビ来たよ」

「……っ!」

 バンバンバン

 バンバンバン

 カチカチッ

 バンバンバンバンバンバン

 カチカチッ


 ・・・・


 ゲームオールクリア!!


「初めて最後までいった……」

「それにしては上手かったわよ。でも次からはやめてね。」

「次はあれやろうよ!」

「ちょっ、聞いてる?」

 こうなったらとことん振り回してしまおう!これは神様がくれたあの子と近づくチャンス!


 次なるゲームは

 昔ながらのエアホッケーゲーム

「これなら難しくないでしょ?」

「なんで、私が戦うことになってるの?説明してよ。」

「いいからいいから!」

「何がいいのよ……」


 カラン


 カン!

 カン!

 カンカン!

 ガチャン!

「よし、まずは先制。」

「まだやるの?」

「12点マッチだよ。」

「……」

 不機嫌そうに黙り込んでしまった。

 さすがに強引すぎた。

「ごめん!じゃあこれで相生さんが勝ったら俺はもうつきまとわないから!」

「……約束ね?」

「うん。よし!いくよ!」

 カン!

 カン!

 カン!

 カラン!

「……同点」

「まだまだ!」


 ホッケーバトルは白熱した。

 でも、器用貧乏な俺はこのゲームでもある程度戦えるので


 カラン!

「よっし!勝った!」

「……っ!」

 辛くも12-10で俺が勝った。


「……次は。」

「え?」

「約束は守る。でも次で私が勝ったら終わりね。」

「オッケー。次はー」


 この後、競馬・フリースロー・ダンス・格闘ゲームで戦ったが全て俺の勝ちで、振り返って接戦だったのはホッケーゲームだけだった。俺にとってはほとんどゲーセンデートで今日はいい日だ。


「……広山くん。」

「なに?」

「強い、ね……」

「?」

 みると彼女はかなり悔しそうな顔をしていた。

 彼女は意外と負けず嫌いなのがわかった。でも、これはちょっとやりすぎた。


「あー、最後にあれ、最初のシューティングで得点勝負にしよう!」

「気を遣ってくれてありがとう。……圧倒的に勝つから。」

「こわーっ……」

 彼女は厳しい顔で銃を手に取った。


 結果は相生さんの圧勝。

 相生さんは一つのことを極めるタイプで俺とは対局なのかもしれない。


「やっぱり強いね相生さん。」

「これしかやらないから。」

「あはは。じゃあ解散?」

「……気を遣ってくれたことは、素直に嬉しかった。そのお礼にジュースおごってあげるから屋上行きましょう?」

「え、ああうん。あ、ちょっとトイレ行ってくるから先いってて!」

「わかった。」


 俺はトイレで気持ちを一度落ち着かせた。

「(今日は最高だ。最高の日だ!)」


 そう

 思っていたのは

 ここまでだった。


 俺は彼女のまつ屋上へ向かった。

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