大国の王子サマ登場!
大笑いしながら姿を表したのは…………
誰でしょう?
「だれですか?」
私の呟きに、周りの生徒が知らないの!?って顔を向けてきました。あのバカ王子と同類なんて死んでしまいますよ!
「失礼、私はアルデバラン・レグルスと言う。レグルス帝国の第二王子だ」
おおっ!レイクード王国の北に位置する大国ですね。魔石のお得意様です!
「これは失礼致しました。まだ学園に来て日が浅いもので申し訳ありません」
「いや、それは仕方ないことでしょう。貴女は単位取得の為に綿密なスケジュールを組んでおいでで、昨日は学校に来ていないのだから」
!?
おや、私が言う前に言ってくれましたね。
「なっ!?」
うちの王子サマも、この方の半分でも頭があったなら………はぁ~ため息しか出ません。
「それで、私は何度も尋ねましたよ?本当に昨日だったのかと………貴方は目撃者もいるので間違いないとおっしゃいました。どういうことでしょうか?明確な返答をお願い致します」
キッと睨んで王子に言い放ちました。
「だ、黙れ!黙れ!階段から突き落とした実行犯は貴様が金で雇ったのだろう!だから間違ってなどおらぬわ!」
…………………そこの女が私、『シオン・オリオン』を見たと言ったじゃないかいっ!私は頭が痛くなりました。
「………そこの女が私を見たと言ったではないですか………はぁ、もう結構です。ここまでされてはもう修復不可能でしょう。貴方は私が邪魔で、私が犯罪を犯したから婚約破棄するという筋書きだったのでしょうが、余りにもお粗末過ぎます。ここにいる生徒達が証人です」
一歩前に出ると、バカ王子は後ろに後ずさった。
「我がオリオン家を敵に廻した事を後悔なさい!領地に戻りお父様、オリオン辺境伯に報告させて頂きます!ここにいる者達も、どちらに付くのか実家に相談なさい!私は中立は認めません!中立を決め込んだ家は、後から閑職に追いやられると思いなさい!」
シオンの言葉に生徒達は驚いた。それは内乱を意味しているのだから。
「おいおいシオン嬢、侮辱されて悔しいのはわかるが頭を冷やせよ」
部外者であるアルデバランさんは冷静に言ってきます。
「いいえ、私は冷静です。だってこんな、またとない機会をバカ王子が与えてくれたんですもの♪」
兵を起こす理由をこのバカ王子がくれたのだから。あら?わたくし口にも出してバカ王子と言ってしまいましたわ。おほほほ!
「き、きさま!反乱でも起こす気か!?」
「ええ、そうですわ。貴方が見込みのある王子であれば私は貴方を立てるつもりでした。しかし、貴方は余りにもバカ過ぎる。貴方が王になればこの国は遅かれ早かれ滅んだでしょう。故に、他国に蹂躙される前に、自国の民によって討伐した方が流れる血は少なくなると判断しました」
私は言う事を言った後、そそくさにその場を後にした。
学園を出て馬車に乗る時に声を掛けられた。
「良かったら私も乗せてくれないかな?」
そこにはアルデバラン…………と、もう1人知らない人物がいました。
「私はこのままオリオン領へ戻りますが?」
「ああ、構わない。また後で配下の者が必要な荷物を持ってくるからな」
なるほど。あのやり取りを見れば、聡い者ならどちらが優勢かわかるというもの。
「わかりました。それで、そちらは?」
「突然にすまみません。私はアルタイル公国の王子、ベガ・アルタイルと申します。私も御一緒させてください」
おや、アルタイル公国は南の大国ですね。レイクード王国を緩衝地帯として、それぞれ王子を留学させて、交流をはかり国同士のいざこざを緩和させようとしていると聞きました。
なるほど。納得ですわ!
こうしてシオンは大国の王子を二人乗せてオリオン領へと馬車を走らせるのだった。
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「さて、オリオン領へ着く前にいくつか教えて欲しいのだけれど?」
さっそくアルデバランさんが切り込んできましたね。
「ええ、答えられる範囲でなんでも聞いて下さいな♪」
アルデバランさんの質問は、本当に内乱を起こすのか?王家に成り代わるつもりがあるのか?だった。
「ええ、今の王家には貴族達をまとめるほどの力がありません。年々、どこかの大国の圧力に屈して、魔石の値段を安く買い叩かれていますからねー?」
シオンの言葉に目を反らすアルデバランだった。
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