出会う少年

 いつもの学校に向かう道は学生たちが友達とワイワイしながら登校していたり、八百屋のおじさんが大声出しながら開店準備したり、結構にぎやかな印象がある。

 しかし、いつもより早く家を出たせいか、違う町に迷いこんでしまったかと錯覚するほど静かな道に変わっていた。


「6時半ってまだこんなに静かなんだな。まるで僕しかいないみたい...ん?」


 若干、静かすぎる雰囲気に寂しさを感じつつ歩いていると前の方にうちの高校の制服を着た女性の姿に気づく。


「僕以外にこんな早く学校に行こうとする人がいるとは...」


 そんな変わり者がどんな人か気になる。

 けれども、知らない人に話しかけるというのはコミュ病の僕にはレベルが高い。相手が女性なら尚更だ。

 そんなわけで、僕は少し歩くペースを上げて追い越す瞬間にチラッと顔を拝見する。という、わりとキモいやり方を思い付き実行する。

 スタスタッ スタスタッ

(あと、もう少し)

 残り1メートルを切ったところで、僕は少し顔を下に向けて、相手にバレないように視線を横にし彼女の顔を見た。

 ピタッ

 僕の足は、地面とくっついたかのように止まってしまった。

「あの...私になにかよう......です...か」

 いきなり横で止まった人がいれば当たり前の反応なのだが彼女も僕の顔を見るやいなや歩みを止める。

 最初に言っておこう彼女の名前も知らない。話したことなど当たり前だがない。つまり、他人。

 なぜそんな赤の他人同士の2人が見つめあっているかというと、

 話したことない、名前も知らない、けれども僕たちは会ったことがある。

 夢の中で......








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る