第47話 俺の最期
俺の記憶があるのは――。
「じゃ、長瀬君の最期が来るまで、次はどうしようか」
長瀬がくるりと回ってこちらを向いたとき。俺は、長瀬の足元に、気が付いた。
「あっ!長瀬!後ろ!」
「――へっ?」
すると、長瀬の身体が、ふわりと、後ろに傾く。暗くて、見にくくなっていたが、階段の始まりだった。俺は、さっと立ち上がり、長瀬のところへと駆け寄る。
そして、ギリギリのところで、長瀬の手を掴んだ。
俺は、長瀬の手を掴んだ後は、その時の俺の最大限の力で、長瀬を引っ張り上げ、長瀬の手を離した。
そして、長瀬が顔面から――というか。あれは完全に、顔面からだった。地面に、スライディングするような姿を見てから――。って、大変申し訳ないことをしてしまった。と、思いながら。俺の視界から、長瀬は消えた。
そして、木々が見えたと思ったら、背中に、強い衝撃。激痛が走るそして、そのあとは、止まることなく。連続で、身体の各所に痛みが走る。頭にもガツン!と、そして、振り回されたかのように頭がぐらぐらする。何回も何回も、硬い石に、身体がぶつかり。どちらが上で、どちらが下か。左か、右かもわからない状態。
やばい――これはめっちゃ気持ち悪い。そして、今までに、経験したことのない激痛が全身を襲う。
けれど、身体は、止まらない。そして、そろそろ、いろいろと限界。と、思った時に、ズシャ。というのか。久しぶりにか。石の硬さではない。砂。砂利?だろうか、ちょっと、粒つぶしている上に、落ちた感じがして、俺の動きが止まった。
……身体は動かせない。指一本と動かない。何も見えない。
力すら入らないというか。激痛が途中は、あった気がするがこれは良いことになのか。その感覚が、薄くなっていく。まだ、生きているのか――と。俺は思おうとした。でも、さすがに、振り回されたというか。転げ落ちたのか。そのため、身体へのダメージが大きすぎたのか。急に眠くなり。意識はそこで……無くなった。
◆
誰の声も聞こえない。
真っ暗な世界に、俺は来たようだ。
★
翌朝。
神社の近くを、散歩していた近所の人が、神社の階段下で、倒れている若い男性を発見した。すぐに、警察、救急車などが来て、あたりが騒がしくなった。
この若い男性。身元が分かるものを、何も持っていなかったため。一部ニュースで取り上げられ、情報提供を求めていた。
「本日早朝――○○神社にて、若い男性が、倒れているのが発見されました。警察は、男性の所持していた財布の中身が、なくなっていたことから。事件と事故の両方で、慎重に捜査をしています。発見された男性は、現在、意識不明の重体とのことです。次のニュースです――――」
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