第5話

私は混乱していた。

なぜかだって?

それはな、


「何であんな化け物みたいな奴がいるのよ…あんなのが火竜を倒せるなんて当たり前じゃない」


とルナが私の目の前でガタガタと震わさせて顔を青くさせて涙目になっていたからだ。


……ていうか化け物って一体誰のことだ?


「おいルナ?その化け物って誰のことだ?」


と私が問うとルナは私の方にバッと向いて


「分からないの?

今さっきマリンと話していたアズエイルっていう青年のことですよ!」


と叫んだ。

…は?コイツ何言っているんだ?アズは確かに運が化け物のようにあるがただそれだけのはずだ。

私がそう思って更に混乱しているとルナは呆れたように


「まさか本当に運だけで火竜を倒したと思っているんじゃないんでしょうね?あなたは偽装スキルも知らないの?」


と馬鹿にするように言ってきた。

ムカッと来たので


「当たり前だ!なぜそんなことを聞く?」


と言うと、ルナは大きな声で


「まだ分からないの?彼が偽装スキルで自分のステータスを偽装してたのよ!」


と言った。

その声はギルド中に響いたが、周りにいた冒険者達は火竜を倒しに行ったのでギルドの集会所にいた受付人が何事かとこちらの方を見ていた。


…でも待てよ。アズが偽装スキルを使っていただと!? 

では彼の本当のステータスは…


と私がそう考え込んでいるとルナがそれに気づいたのか、


「彼の本当のステータスはね…」


ルナからアズの本当のステータスを聞くと


『な、なんだってー!?』


私はルナから聞いた衝撃の事実に驚きのあまり目を見開いてそう叫んでしまった。

メイベルとエリーザは私と同様で物凄く驚いていた。


まさかアズがそんなに強かったとは…


私はそう思いながらまた立ち尽くしてしまっていた。




・・・アズエイル視点・・・


俺は今、街から離れている森の中にある自分の家の中でイスに座っていた。

そして今日の昼に起きていたことを振り返っていた。

いや…詳しく言うとその時にギルドにいた四人組の女性パーティーの人達のことを思い出していた。


まずマリンさん

あの人はこのパーティーのリーダーらしく、金色の長い髪と青色の目を持っていて、顔立ちは良く、身長は俺と同じくらいだった。

装備は白い鎧に白い剣を身につけていて、そして茶色のバックを持っていた。

この人は優しいものの言い方をしていて、火竜に襲われている時もみんなのことを考えて行動していたので、仲間思いの優しい人だなというのが第一印象だ。


次にルナさん

あの人は魔法使いで、紫色の髪と赤色の目を持っていて、顔立ちは可愛らしく、身長はちょっと俺より低い。

装備は紫色の服に紫色の帽子を被っていて、長い杖を持っていた。

この人は見た目からしてしっかりしていてそうで頼りになりそうだなというのが第一印象だ。


次にメイベルさん

あの人は弓使いで、青色の髪と緑色の瞳を持っていて、顔立ちは綺麗だった。

装備は身軽そうな軽装備で背中に弓を持っていた。

この人は雰囲気が明るい感じがしたのでそのまま明るい人だなというのが第一印象だ。


最後にエリーザさん

あの人は槍使いで、茶色の髪と茶色の瞳を持っていて、顔立ちは良かった。

装備は動きやすそうな装備で背中には長い槍が背負われていた。

この人は軽い感じで話しかけてくれた人で凄いフレンドリーな人だなというのが第一印象だ。


俺がそんなことを思い返していると、


『この人達は『女神の微笑み』と呼ばれるSランクのパーティーなんですよ。やっぱりアズ君って凄いね』


とふと火竜を倒した後、彼女達をギルドに運んだ時にコリンさんに言われたことを思い出していた。

Sランクの冒険者達は強いのかな?

と興味本位で彼女達のことを鑑定した時に出てきた結果を思い返した。


マリン=フォーレンス   Lv.56


年齢

21歳


種族

人間


状態

異常無し


ステータス

体力・・・800

魔力・・・600

力・・・500

守備・・・400

速さ・・・250

技術・・・600

運・・・200


スキル

剣術Lv.5 魔法Lv.3

礼儀作法Lv.3 体術Lv.2

対話術Lv.2 鑑定Lv.3


称号

・指揮する者

・Sランク冒険者

・天才

・正義を貫く者

・フォーレンス家の長女


神の加護

全知全能神の加護


まずマリンさんは全部が平均的に強く、戦いなどに役に立つスキルをちゃんと持っている。

さらに名字持ちである。

つまり貴族の生まれであるのだ。

また、神の加護のところには凄いものがあった。


全知全能神の加護・・・戦闘時、全てのステータスが

           上昇(最大二倍まで)

           また、全ての状態異常が無効

           になる。


と書かれていた。

これを見る限りでは、戦う時に凄く強いことが分かる。

次にルナさんはと言うと


ルナ=イーグル     Lv.51


年齢

19歳


種族

人間


状態

異常無し


ステータス

体力・・・350

魔力・・・900

力・・・180

守備・・・200

速さ・・・300

運・・・190


スキル

魔法Lv.5 鑑定Lv.4

料理Lv.2


称号

・しっかり者

・Sランク冒険者

・真実を見通す者

・イーグル家の三女


神の加護

魔神の加護


と書かれていた。

全体的に見ると魔法関係が凄い。

だがそれ以外が低いので一人での戦闘になった時に不利である。

また、称号に『しっかり者』と書かれていた。

俺がしっかり者だなと思っていたのが当たっていたので鑑定した時に少し嬉しくなったのは内緒である。

そして彼女も名字待ちなので貴族の生まれである。

さらに神の加護にも『魔神の加護』があった。


魔神の加護・・・魔法を使う時に消費する魔力を大

        幅に減少させ、魔法の威力を大幅

        に上げる。


さらに称号にはもう一つ興味深いものがあった。


真実を見通す者・・・全ての真偽を見極めることが

          できる者。

          偽装スキルの効果を無効にす

          る。


いやー、これを見た時は焦ったなー

彼女に鑑定をされたら俺の本・当・のステータスがバレてしまうからな。

だがその不安も杞憂に終わったのでホッとしている。

さて、次にメイベルさんである。


メイベル=オルズ   Lv.50


年齢

18歳


種族

人間


状態

異常無し


ステータス

体力・・・420

魔力・・・330

力・・・420

守備・・・230

速さ・・・210

技術・・・700

運・・・250


スキル

弓術Lv.6 調合Lv.2

鑑定Lv.2 交渉Lv.3


称号

・Sランク冒険者

・オルズ家の次女


神の加護

武神の加護


と書かれていた。

彼女は弓を扱うためか技術が高いく、弓術のレベルも高い。

そして神の加護には『武神の加護』と書かれていた。


武神の加護・・・力と速さの値を上昇。

        さらに扱う武器に関するスキルの

        獲得とレベルアップがしやすくな

        る。


つまりこの加護があれば戦いが有利になると言うことだ。

また、この人も名字があるので貴族の生まれであることが分かる。

そして最後にエリーザさんである。


エリーザ=オルズ   Lv.53


年齢

19歳


種族

人間


状態

異常無し


ステータス

体力・・・490

魔力・・・420

力・・・690

守備・・・350

速さ・・・650

技術・・・300

運・・・100


スキル

槍術Lv.6 俊敏Lv.ー


称号

・オルズ家の長女

・Sランク冒険者


神の加護

武神の加護


と書かれていた。

彼女は槍を使うためか力と速さの値が高い。

また、スキルにも『俊敏』と言うのがあった。


俊敏・・・速さの値が三倍になる。


これがあれば槍を使う戦いでは有利になるはずである。

また彼女はご覧の通りメイベルさんとなんと姉妹なのである。

さらに神の加護もメイベルさんと一緒なのである。

姉妹揃って加護が一緒って仲良しなのかな?

と俺は鑑定している時にそう思っていた。


…とまぁ、こんな感じである。 

全員が貴族の生まれであることに驚いたが、Sランクの冒険者になれているなんて凄いなと感心もしていた。

だが、みんなレベルも50を超えているので強いと思うが俺から見たらまだまだかなと思ってしまう。

ていうかSランクの冒険者ってみんなこんな感じなのかな?


と俺はそう思いながらおもむろにポケットに入れていた自分のステータスカードを取り出すと、偽装を解いて表示させた。

そこには…


アズエイル      Lv.85


年齢

16歳


種族

人間


状態

異常無し


ステータス

体力・・・8000

魔力・・・7500

力・・・6700

守備・・・5500

速さ・・・5700

技術・・・2000

運・・・3000


スキル

調合Lv.3 対話術Lv.3 交渉術Lv.2


創造Lv.5 剣術Lv.7 魔法Lv.6


対人術Lv.4 暗殺術Lv.6 投擲術Lv.4


弓術Lv.4 地形理解Lv.ー 豪運Lv.ー 


気配察知Lv.3 気配遮断Lv.4 体術Lv.5


恐怖耐性Lv.3 精神異常耐性Lv.4 


毒耐性Lv.5  麻痺耐性Lv.4


鑑定Lv.4    偽装Lv.4


料理Lv.4    暗視Lv.ー


称号

・暗殺者

・忍ぶ者

・竜殺し

・成長する者

・運のある者

・Eランク冒険者


神の加護

無し


と表示されていた。

これを見る限りでは、彼女達が一斉に襲いかかっても俺が勝つことはできるだろう。


「いっそのこと俺もSランク冒険者になってみようかな……って何言ってんだ。

Sランクにでもなったら面倒ごとに巻き込まれるだけだっつうの」


と一人で笑いながら言い、椅子の背もたれにもたれかかると不意に壁に付けられていた時計を見た。

そこには6時と表示されていた。


俺は時計を見た後「そろそろ時間か」と呟きながら立ち上るとクローゼットの方に歩いて、そしてクローゼットを開き、クローゼットの中にある真っ黒な服とズボンを身につけ、そして夜用の短剣を腰に携えてから、昨日作った赤黒い手袋とマントを身につけた。


この手袋とマントはマリンさん達を助けた時に倒した火竜から貰った素材から作った物だ。

凄く弱かったが素材は良かったのでそのまま使わさせてもらったのである。


もちろん生きていたことは気付いていたが、別に

『竜殺し』の称号はもう持っていたし、凄いほどにボロクソにしたのでまともに動けないだろうと思って放置したのである。

今頃誰かがそいつを殺してその喜びのあまりに踊っていることだろうよ。


そんなことを考えながら最後にバックを身につけて家の外に出た。

そして家の扉に鍵を掛けると真っ黒なマスクをつけ、真っ黒なフードをかぶり、「今日も狩るぞー」

と言いながらギルドに向かった。



その時俺は知らなかった。

俺が杞憂に終わったと安心していたことが実際には起きていたことを…


ルナが俺のことを鑑定してその結果をマリン達に報告したことを…







そして…





このことを境に、俺がいろんな面倒ごとに巻き込まれることを…





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