最強冒険者は夜行性
@aozoranozomu
第1話 絶望の昼
「はぁ、はぁ……」
一人、少年は少し前まで村であった所を荒い息をし、ふらつきながら歩いている。
その少年は黒い髪、黒い瞳をしており、歳は10くらいで可愛らしい顔立ちをしている。
だが、そんな彼は全身血塗れになっており、片手には血で赤黒く染まった折れた短剣が握られていた。
また、彼の周りには魔物と村人の死に体が散在しており、村人は悲痛の表情で顔を歪ませ、魔物は何が起きたのか分からない表情で瓦礫の下や家の壁、畑の中で糸の切れた人形の様にピクリとも動かずに横たわっていた。
「アル、ミナ、シオン…」
彼はそんな血生臭い所を光の篭っていない瞳で見ながら誰かを探す様にそう呟く。
だが、その呼びかけに誰も答えはしない。
「村長…みんな…」
彼はそう呼びかけ続けるも帰ってくるのはただの静寂だけだった。
それもそうだろう。
この村はは彼が帰ってくるまでに魔物によって滅ぼされたのだから…
「なんで…なんで、なんで!」
彼は数歩進むとそこで打ちひしがれる様に跪き、地面を叩きつけながらそう叫ぶ。
「なんでこんな事に!!!」
目に溢れんばかりの涙を浮かべ再び廃村の中で叫ぶ。
だが、その問いにも誰も答えるはずもなく、また静寂が訪れる。
「あぁ…
がぁああああああああ!!!!」
そして、彼の苦痛の叫びが廃村に再び響き渡る。
彼の名はアズエイル。
ただ、普通の暮らしをしていた幼い少年である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます