売れたい小説家、小泉夏穂の怪奇談

小林ぬこ

プロローグ


目の前の男の嘆きにうんざりする。

このクソ野郎の話を聞いていた所で共感もできなければ、ストレスしか感じられない。


通常であれば8月のお盆終わり、海の漣を聴きながらパワースポットで癒されて次の仕事への活力をためる予定だった。


どうしてこうなった!!!と叫びかけた声をため息へと変える。


恋は盲目とはよく言ったものだ。

ただただ、目の前の男を殴りたくて仕方がない。


そんな衝動を抑えながら、目の前の男を見つめる。

なぜ、こんな事になったのか…



始まりは蝉が鳴き始めた7月中旬の頃だ。

担当者が言った一言から物語は始まり、また動き出したんだ。

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