第4話 引っ越しの挨拶
部屋の隅に置いてあるダンボールへと向かう。あらかじめ、ネットで買った、家具や俺のカナダの家に置いてあった私物たちが主に入っていると思う。
「あ、そういえば…」
ある事を思い出し、さっき、寄ったスーパーの袋へと手を伸ばす。パンやら調味料をどかし、取り出したのはそばだ。
なぜ、そばかって?それはもちろん、引っ越しそばだ。日本では引っ越しの際にお隣の人に挨拶とそばを渡すらしい!(アニメ情報)
時刻は6時半過ぎ。さすがお隣さん達も帰ってきてるだろう、知らんけど。
とりあえず、そばを持ち、玄関へと向かった。玄関を出て、右側の1018号室の玄関の前に立った。名前は…
雪森ゆきもり。
よし、雪森さん、雪森さん… 心の中で練習をし、インターホンを鳴らした。
…………
誰も出ない…まぁでも仕方がない。出かけてる可能性だってある。
諦めて、自分の部屋から左側の1020号室に向かった。名前は鈴木と書いてある。とりあえず、こちらも同じくインターホンを鳴らした。
ガチャ、こっちは結構すぐ開けてくれた。
「はーい、どちら様でしょう?」
と言いながらドアを開けながら男は言った。
「あ、こんばんは、初めまして、隣の1019号室にカナダから引っ越してきた、大塚和樹と申します。」
「あー、例の外人さんね!おーい、
男は誰かを奥から呼びかけた。年齢は30後半くらいで黒髪で身長は俺と同じくらい。凄く気持ち良さそうな部屋着を着ていてめっちゃ元気なのはすぐわかった。そして、俺もややイケメンだ。男の呼びかけで奥からお母さんっぽい女性と娘っぽい子が出てきた。
「わー、凄い!本当に外国の方だ。こんばんは」
と言ってきたのは優しいお母さんっぽい女性だった。少し茶色ぽいセミロングな髪をまとめ、背は普通の女性くらいで、薄い水色のワンピースの上にエプロンをしている。多分料理中だったのだろう。多分、男の奥さんだとは思うけど凄く美人なお方だ。
「お兄さんだー!」
いや、違う。とは言ってないがそういうツッコミを入れたくなるような事を言ったには横にいた、娘っぽい子だった。可愛らしい声と容姿と共に出てきた。こちらもセミロングくらいの髪だがこの子は黒髪だ。この子は少し濃い水色のワンピースを着ている。多分、この二人の娘だろう、もうすでに可愛らしい女の子だ。
「大塚くんって言ったかな?こちら、嫁さんの花子。そして娘のひとみだ。そして私は
やっぱり、思ってた通り、3人家族らしい。
「はい、よろしくお願いします。これつまらない物ですが、良かったらどうぞ」
そして俺はそばを渡した。
「おー、ありがとう!これは俺じゃなくって花子用だな」
と言って、そばを花子さんに渡した。
「まあ、ご丁寧にありがとうございます。外人さんが来るから少し英語勉強したのに無駄になちゃったわ」
と笑いながら言う花子さんに対して俺は聞いた。
「あの、もしかして知ってたんですか?僕が引っ越して来るって」
そしたら智さんが、
「そうそう、外人さんが来るって聞いててね、うちの娘とかはもうすっごく楽しみにしてたよ!」
と言って、娘のひとみの方を見たら、さっきのテンションとは裏腹に花子さんの後ろに隠れて、少し、顔出してこっちを見ている。
「そっか、よろしくね、ひとみちゃん」
俺が言うと、彼女はコクコクと頷いている。
「まぁ、今日は長旅で疲れたと思うし、何か困った事とかあったら遠慮なく、言ってくれ!」
智さんが言い、俺は少し気になっている事を聞いた。
「はい、ありがとうございます。あ、後、僕の隣の1018号室の雪森さんっていつもこの時間帯は留守なんですか?」
「いえ、雪森さんは結構平日でも家にいる思いますけど、、多分、家で仕事をやってると思いますけど?」
答えてくれたのは花子さんだった。
「そうですか、ありがとうございました。失礼します。」
と言って、俺はドアを閉めた。
雪森さん、家にいるんだったらなんで出ないんだろう、まぁ、買い出しとかでしょう。と思いながら自分の部屋へ戻ろうとした時、、
ガチャ
隣の1018号室。つまりは雪森さんのドアが開いた。
おっ、出てくれた、と思いながら自分の部屋を通り越して行くと、
「えっと、君が新しいお隣さん?」
俺は固まってしまった。部屋から出てきたのは女性で担当直入に言うと、めちゃくちゃ美人。背は俺くらいで綺麗でサラサラな黒のロングヘア。シャンプーの良い匂いが部屋から漏れている。黒のパーカーに少しルーズなズボンを履いていてそれでもスタイルは抜群で胸も大きい過ぎず小さ過ぎずと言ったパーフェクトボディーだ。って変態か俺は。歳は多分、俺と同い年か少し上くらいだ。
なんて破廉恥はれんちな事を考えていると、雪森さんが近寄って来て、
「ねぇ、聞いてる?」
と言ってきた
「あ、えっ、はい!カナダから引っ越してきました。大塚和樹でしゅ!」
テンパり過ぎて、噛んでしまった。最悪。消えたい。穴があったら入りたいとはまさにこの事だ。
「あはは、可愛いなぁ和樹くんは、私は
笑顔で挨拶してくれた。ものすごく可愛くって、いきなり名前で呼ばれて、死ぬかと思った。いや、綺麗と言える。むしろ、どっちもだ。
「あっ、はい、よろしくお願いします!後、こ、これ、つまらない物ですが、、」
雪森さんにそばを渡す。
「これって引っ越しそばってやつ?」
と雪森さんが聞いていた。
「あ、はい、日本では引っ越しの時、そばを渡すって聞いて、、」
「そうなんだ、でも、その風習はもう古くってやらないよ?」
「え、」
ま、まさか、アニメではそうやってたのに、、なんて考えていると雪森さんが、
「そんな泣きそうな子犬みたいな顔しないで、すっごく嬉しいし、美味しくいただくね?ありがとう。」
と優しく言ってくれた。
「は、はい、是非、召し上がってください!えっと、じゃ、じゃあ、僕はこれで失礼しますっ」
こんな超絶美人と一緒にいたらいつ、倒れるか分からないから早く立ち去ろうとしたら、
「あ、ちょっと待って、和樹くんは一人暮らし?」
「えっ?あー、そうですけど?」
と俺が答えたら、彼女は、
「ふん〜、そっか、お姉さんもっ♡」
とウィングしながら、雪森さんは部屋へと戻ってしまった。
なんだんだ、今のは?だたただ、可愛かった。
そして、俺も部屋へ戻り、少しの間ドキドキが止まらなかった。
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