第1話 プロローグ(和樹の中学時代)
いつも『日本』という場所が俺の憧れだった。いつもアニメ、漫画やラノベで読んで、見てきた場所だ。
俺、
ブサイクでもなければイケメンとも言えない顔だ。逆に何人か分からないとよく言われる。
俺の生まれは日本だった、しかし、一年も立たない内に家族と共にカナダへ行ってしまった。
そのまま、カナダの幼稚園、小学校へと通った。そこまでは普通に楽しかった。まぁでも楽しかったもなにもそんな低学年でなにかすごい出来事や華やかな青春があるわけでもない。
おかしいと思ったのは中学2年の後半くらいの時だった。
一年に一回、母親の実家に帰るために日本へ行ってたのだが、街中では自分と同い年の子達がみんなで公園でサッカーをやっている。一緒に出掛けている。一緒に登校している。一緒に下校している。一緒に笑っている。
今まで自分が経験した事のないような事だった。俺はずっと、学校では静かに授業を受け、すぐ家へ帰り、勉強し、適当に家でくつろぐのだと思っていた。
なんだこの光景は…自分がおかしいのか周りがおかしいのか、自分でも分からなかった。
ただ、
眩しいと感じてしまった。羨ましいと感じてしまった。
自分もあんな風に笑ってみたい、遊んでみたい……という感情も芽生えてきた。
カナダに帰って、俺は新学期が始まるのが待ち遠しかった。早くあんな風に遊んでみたい。
学校が終わり、俺は今まですぐ帰っていたが今回は待って、みんなと一緒に帰ろうとした。だが、
俺は混乱した。
ある場所では女子だけで帰り、またある場所では男子だけで帰り、またまたある場所では女子と男子混ざって帰っていった。
俺は訳がわからなくって、男子グループの輪の端から、
「あ、あの、一緒に帰らない?…」
と言った。
すると輪の中から「こいつ、誰っだっけ?」、「いや、知らねえよ。」だの聞こえてきた。
数秒経って、男子グループは俺を無視して、帰ってしまった。
俺はなにが起こったのか分からなかった。クラスであんまり喋らなくっても、俺は一応大体のクラス奴らの顔と名前は知ってるなのに俺は存在すら知られてなかった。
そんな事を誰もいなくなった教室で考えていた。
その日、人生で一番長い間教室にいた。
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