第2話
「おめでとうございます、元気な男の子ですよ」
「はじめまして、私の愛しい子」
「そうだ、すくすくと育つように育斗がいいな」
「とてもいいわね、あなた」
ここに一つ小さな息吹が芽吹いた。夫婦と息子。幸せな家庭が築かれた。温かい家族。両親のめいっぱいの愛を受けて、その名の通りすくすくと元気に育っていった。
3年後。
きょうは、ましろちゃんのおうちにあそびにきた。
いっしょにつみきとか、おにんぎょうさんごっことか、いろんなあそびをましろちゃんといっぱいやった。
「ありがとうねぇ、育斗くん。いつも真白と遊んでくれて...」
「うん!ましろちゃんとあそぶのたのしいから!」
えへへってはずかしそうにてれるましろちゃん。
ましろちゃんのおかあさんもいっしょにわらった。
そのえがおがとても綺麗で儚くて...あの時と一緒で...
あ....れ?
「うっ!?」
ズキンと頭に大きな衝撃を受けた。鼓動が早くなる。咄嗟に胸を押さえた。
あのときって...ぼくは、なにを?
「いくとくんだいじょうぶ!?」
しんぱいしてくれるましろちゃん。
それでも問いかけた。
「ましろちゃんのおかあさんてなんてなまえなの?」
「私?私は花菜って言うんだけどどうしたの。具合が悪そうよ?」
最後のピースが埋まるように記憶という情報が流れ込んできて、そのまま俺は倒れた。
「育斗くん?育斗くんっ!?」
俺はあの時死んだ。
そして今生きている。竹鶴育斗として。
真白ちゃんが確か桜乃真白って名前だから、今は桜乃花菜か。さくらのはな、随分可愛い名前になったな。
昔の俺は彼女が気になっていた。儚く笑う顔に俺は惹かれた。きっと好きだったんだろう。
特に何かあった訳でもないんだけど。俺の片思いだったから。
その何年か後。
生まれ変わった俺は、前世の片想いは思わぬ所で散った、否、爆散した。
そのまま俺は桜乃花菜、真白ちゃんのお母さんにお世話になって、両親のの元に届けられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます