第6話 ぴんくふらっぱ~
考えてみれば…あの人たちは、教室で何をしているのだろう?
小太郎は考えていた。
自分の教室には保健の先生がなぜかやってくるから、疑問に感じなかったのだが…あの人たちは?
そう他の教室ではゾンビ教師がゾンビ生徒に「あーうー」何事か話している。
ゾンビの『ごっこ遊び』みたいだ。
(あの人たちが、真面目に授業など受けているわけがない)
見たことは無いが、確信できるナニカが小太郎の中にはあった。
そんなわけで、保険の先生がゾンビの餌付けの為、自習となった6限目、小太郎は3年の校舎へ向かった。
さすがに受験生ともなると授業中に廊下でダラダラしているゾンビはいない。
そ~っと廊下の窓から教室を覗くと、一番後ろで教科書を広げている秋季、一番前で一応ノートを取っている夏男。
(ゾンビ教師が黒板にペタペタ触っているだけの授業で何をノートに書いているんだろう?)
「先生‼」
夏男が突然、手を挙げた。
「アうあ~」
ゾンビ先生が夏男を指さす。
先生、割と指の骨が剥き出しだ。
「先生…恋をしたことありますか?」
(何を聞いてるんだ、あのバカは)
「あんアー」
「僕は先生が好きでした‼」
(あ~女教師だったのか…あのゾンビ)
「あう?」
「僕は、たまにシャツの隙間からチラッと見える先生のブラジャーが大好きでした」
(ブラジャーが好きだったのか? 先生じゃなくて?)
「ブルーが好きです‼」
ガタンッと椅子を倒して立ち上がる夏男。
「明日…明日、あのブラをしてきてくれませんか?」
(もう…死んだらいいのに)
「ハハハ、夏男よソレはセクハラだぞ」
秋季が後ろの方で笑っている。
「先生、僕は薄いピンクのがいいです」
(お前もかい‼)
「あぅあ…あぅ…あ~」
セクハラに耐えかねたのか、女教師ゾンビはダラダラと教室を出ていった。
泣いていたのかもしれない。
「何をやっているんだ…アンタ達は」
小太郎が教室へ入っていく。
「おぉ、会計、どうした?」
秋季が嬉しそうにハグしようとした両手をスルッと潜り抜けて夏男の席へツカツカと近づく。
「アンタの、その能力が性癖に根付いたものだとハッキリ解りましたよ」
「フッ…会計…能力とは、そういうものなのだ」
秋季がポーズを決めながら得意気に話す。
「じゃあ秋季先輩の能力は…」
「私の能力は、堕天使って天使よりカッコよくないか?」
ガクッと力が抜ける小太郎であった。
翌日…
「先生‼ 青じゃないのかよ‼」
夏男の想いは伝わらなかったようで、女教師ゾンビの肩にピンクのブラがぶら下がっていた。
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