第5話 すくーるかうんせら~
ガラガラ…
ドアを開けて教室に入る小太郎。
ゾンビがチラホラと数人?着席している。
「遅いわよ佐藤、早く席に着きなさい」
「はい、すいません」
この学校で唯一、ゾンビ化しなかった教職員『
カレイド高校の美人保健医である。
「はい、じゃあ今日も保健体育の授業を始めます」
午後からの授業は保健体育一択である。
こうなってから出たことは無いが、たぶん午前中も保健体育なのだと思う。
「ゾンビに噛まれても感染はしません。感染症ではないのです。そして死んでもゾンビとして復活はしません」
この先生は私見を言い切るタイプなのだ。
「先生…なぜ死んでもゾンビにならないと言い切れるのでしょうか?」
「はい佐藤君、前のめりに授業に参加する意気込みはよし‼」
「あっ…ありがとうございます」
「じゃあ、お答えしましょう。しないと思うからです」
「……思っただけなんですね」
「見たことある? 死んでゾンビになった人。先生はありませんよ」
(ゾンビ化しなかった奴って、こんなんばっかなんだろうか?)
考えない日は無いのだが、自分もそのカテゴリーに属していると認めたくない一心で考えないようにしている小太郎。
性格というか人格に難を抱えているとゾンビ化しないのかもしれない。
「あらっ佐藤君、制服が…」
「あっ…登校の時ちょっとかじられて…」
「空腹のゾンビがいたのね」
「はい…」
「大丈夫よ先生、いい能力を持ってるから」
「はぁ…そうですね」
「テープマジック‼」
カレイド高校保健医『
能力名『テープマジック』絆創膏を無限に生み出す能力。
(絆創膏限定なんだよな…)
絆創膏以外は出せないうえに、一番小さいサイズしかだせない。
「コレで大丈夫よ」
(全然面積足りてねぇ…)
「授業を続けます。ゾンビは人間時代の行動をひたすら繰り返します。だから通勤も登校もします。単純作業ほど、ゾンビ化しても機能しやすいのは言うまでもなく、かろうじて社会は成り立っているのです。先生、昨日ハンバーガー買いに行ったけど、ゾンビにパンだけ渡されました。スマイルは…ちょっと解らなかったわ…アレ微笑んでいたのかしら?」
そんな話で終業のチャイムが鳴る。
「あっ…じゃあ明日もゾンビの話を続けます。先生、ゾンビのエサやりをしないとだから、ちょっと量を増やさないとかしらね、またかじられたら大変ですもんね」
アンタがエサ(残飯)を撒くから…ゾンビが寄って来るんじゃないのか?
(ゾンビが日に日に増えていく気がする今日この頃)
「悪循環とは、こういうことか」
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