第3話 らいとすたっふ
「皆様の能力は生存するには役に立たない能力ばかりですわね~」
深々と椅子に腰かけて足を組み替える春奈。
呑気にコーンスープを飲んでいる。
朝食と言うには遅く、昼食と言うには少々早い。
「自由ですね春奈先輩」
「そうですわね~、もはや終末も週末も区別がつかないような世界で、唯一時を告げるのは学校のチャイムくらいですものね~」
「じゃあ…せめて、そのチャイムに従って行動してはどうでしょう?」
「会計君は、アレかしら? 案外、女性を束縛するタイプ?」
「いえ…なぜ僕たちは、この無秩序な世界で、律義に週5で登校しているのかと考えると身も蓋も無い話になるので、せめて登校するならチャイムに従うくらいはしたほうがいいのではと思っただけです」
「つまり昼食時間まで食事はするなと言うわけか?」
夏男(メガネは外した)が会話に割り込んでくる。
「なるほど、では今日の議題は、そのあたりを話し合うことにするか?会計よ」
秋季はココアを飲んでいる。
「長い会議になりそうだぜこりゃ」
夏男がエスプレッソマシン(家電量販店から拝借中)にマイカップ(某セレクトショップから拝借中)をセットしてスイッチを押す。
ガボッ…ゴボボボ…ゲボッ‼
「また電池が切れた‼」
「今時、電池ですか?」
「こういう世の中なのだ、いつまでも電気が供給されていると思うなよ会計」
「なんで今も供給されているんですかね?」
「そこは…電力会社に勤めていたゾンビ社員が今もなんとなく働いているからじゃないのか」
「そうですわ、24時間無休で働いているのですわ、きっと」
「まっ、深く考えるなゾンビ並みに脳みそ少ねぇんだからよオマエ」
「アンタにだけは、言われたくないんです夏男先輩」
「だけ?」
「はい」
「……ちっきしょーめ‼」
夏男の目には涙が溜まっていた。
「まぁまぁ、エスプレッソが飲めないくらいで泣かなくても…夏男さん、今、電池を変えますから」
春奈が両手で外した電池を優しく包み込む。
「ワタシの両手が光って唸る…電池よ光れと轟き叫ぶ…エレクトリカルパレード‼」
カレイド高校2年 生徒会副会長 『
「はい…エスプレッソマシーン使えますわよ」
「淹れてはくれないんだね春奈ちゃん」
「はい…ワタシ夏男さんのこと…生理的にちょっと…」
「それ以上、言ってやるな…春奈…言葉のナイフだ」
「なんか泣きそう…俺」
エスプレッソを皆で飲んでホッと一息。
「しかし、この世界で役に立つ能力を保持している春奈は貴重な人材だな」
「まぁ、照れますわ秋季さん」
「でも…単2電池限定なんですよね?」
小太郎の一言で、一気にエスプレッソが冷めた気がした正午前。
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