ゾンビが徘徊する世界で、こんな能力を持ってみたって、どうしようもねぇ…
桜雪
第1話 わーるどえんど
「うん…今日も元気に登校してくるな」
「他にすることねぇだろうからな~」
「習慣って抜けないものですわねぇ」
地方都市、
『生徒会長
眉目秀麗な変人である。
『書記
女性は見た目が良ければ性格など二の次という割り切った女好き。
『副会長
おっとりを超越した、おおらかな女子高生。
「おっ‼ 会計がダッシュでやってきたな」
秋季が嬉しそうに指を指す。
「本当ですわ、会計君、今日もシャカリキですわ」
春奈が手を振って応援する。
「ハハハ、会計のヤツ、また食われかけてやがるぜ」
夏男がゲラゲラ笑う。
ゾンビをすり抜けるように走ってきた男『次期生徒会長 有力候補 会計係』
「笑い事じゃないんですよ‼」
扉をバンッと開け、走り込む小太郎、ちょっと肩をかじられたようだ。
「おはよう会計君」
春奈がニコリとほほ笑む。
「笑い事じゃないんですよ‼ 本当に‼」
「大事な事だから2度言いましたってか?」
夏男が、かじられた肩口をバンバン叩く。
「痛いんですよ‼」
「会計、かじられたんだ、痛くて当然…噛まれたのなら正露丸でも飲んでおけ」
秋季がバファリンを差し出した。
「そういうところが嫌いなんですよ…ホントに…嫌いなんです」
こんな世界にならなければ絶対に接点を持ちたくない3人である。
……西暦2023年 人類の大半は原因不明のままゾンビ化していた。
なぜかゾンビ化しない人間は、ご褒美だとでも言わんばかりに特殊能力をひとつ身に付けゾンビと共存していた…。
「得意の能力で切り抜ければよかっただろ?」
「金を増やす能力で空腹のゾンビをどうやって切り抜ければいいんですか‼」
「何度聞いてもウケる…ゾンビが徘徊する世界で金を増やせる能力って…会計、オマエ馬鹿?」
夏男が口を押えて笑う。
『佐藤 小太郎』16歳、ゾンビ化を免れて得た能力は『バイバイマネー』右手に握つた金を左にコピーする能力、そう犯罪だ。
(こんな世界にならなければ…一生金に困らない能力だったはずなのに…)
涙ぐむ小太郎。
ゾンビが徘徊する世界では、なんの役にも立たない能力を身に付けている小太郎。
この物語は、ゾンビが徘徊する世界で消去法で生徒会役員に選ばれた彼らの学園物語である。
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