大和の舞
約二時間にわたって、よくわからない理事長のお説教と自慢が終わった。そのあと、宿の体育館で色々することがあるということで、学年全員は背中に「大和」という学校名が派手に乗ったジャージを着せられ、体育館に足を運んだ。
「えー、皆さんおわつまりいただきありがとうございますと。それではですねえ、きょうは大和体操とこの学園の歌を覚えてもらいたいと思いますと。はぁい。」
またまた、癖のあるしゃべり方である先生が登場した。
「ちなみになんですがあ、自己紹介をしておきますとぉ、わたくしのお名前はぁ、黒田修一と申しますと。はぁい。それでは、大和体操の方からやりましょうか。」
話し終えた黒田先生は、一目見ただけで体育教師だと分かるようなガタイのいいゴリラみたいな先生にマイクを渡した。
「えー、はい。じゃあこれから大和体操を始めます。4組のそこ、名前何だ。」
「えっと、か、神田です。」
「おう そうか」
するとゴリラは息を吸った。
既に強調されている大胸筋がさらに風船のように膨らんだ。
そして、一気に貯められた空気が外へ解放される。
「神田を基準に、体操の隊形にに開げ!」
その迫力に誰も、動くことが出来なかった。
「おまえら、体操の隊形になるのも、わからんのかあぁぁぁぁ!」
ゴリラはやはり、見た目通り教えるということを知らない脳筋だった。
準備を終え大和体操のレッスンが始まった。体操の内容は、ほとんどラジオ体操と変わらず基本的に簡単な運動ばかりだったので数時間で全員覚えることが出来た。
全員で一旦通してやってみようということで、先生たちも前の方に並んで いちにいさんよん の合図で始めた。
その直後、あのゴリラが突然歌い出したのだ。大胸筋が風船のように膨らみ、自慢の肺活量を活かして、まるでスピーカーのような振動を図太い声で体育館の床に低く響かせながら、大和学園歌を大熱唱していた。
この光景に、これはインフルエンザにでも掛かって夢でも見てるんじゃないかと思い始めたが、これは現実だったらしい。
何知らぬ顔で前の先生たちはその歌に合わせて動き始めていた。
それを追うように生徒たちも動き始めた。
この宗教じみた一体感、感動と恐怖感が同時におしよせ、頭が混乱しそうだった。
「こ、これが…。大和の舞…。」
誰がそういったのかは分からなかったが、この光景に俺らはこのよく分からない大和体操を「大和の舞」と意味深な名前として脳裏に刻まれた。
男子高校生の日常(仮)タイトルは後ほど 翡翠 @kimijeep
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。男子高校生の日常(仮)タイトルは後ほどの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます