第5話 南の町へ
「長老様、いかがなさいましたか」
「うむ、あの子は少しばかり危険かもしれぬ」
「危険、、、ですか」
ディーンが?スキルの使い方も分からないあの子が?
使えるスキルが危険スキルなのだろうか。
眉をひそめているルイナに長老様は言った。
「ルイナよ、詳しいことはディーンと話そう」
ルイナに、長老様の声は届いていなかった。
ディーンよ、お前はいったい、、、
!?
もしや、
「ちょっ、長老様!もしや、」
「うむ、ディーンは...」
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「ディーンよ待たせて悪かったの、客人なのに1人にしてしまって」
一気に緊張の糸が切れた。
さっきまでの威圧感が無くなっていた。
俺は、肩をなでおろし、ひとつ深い呼吸をした。
「おまえに、話があるそうだ。」
俺に、話?
「長老様、なんでしょう
カァァーン
杖を一突き
すると村中に、いや、林中に杖を突く音が響き渡った。
「ディーンに告げる、南へ向かいウィンのもとを訪れよ」
「はっ!!」
勇ましく返事をしたのはルイナさんだった。
ディーン行くぞ、と手を引かれ長老様の家を後にした。
「ルイナさん!?」
「ディーン、聞きたいことは分かっている、しかし、私にも分からない」
ルイナさんにも分からない?どういうことだ?それではなぜ俺は南へ向かっているんだ。
「長老様の“杖の宣言”は、魔法界中の上級魔道士以上の者に即時通達される。この宣言は、戦争通達や、魔法界全土に関わる超緊急事態に上級魔道士達へタイムラグなしに通達するための手段だ。ディーン分かるな?」
俺は、超緊急事態ってことか!?
スキルを調べてもらうだけじゃ、、、
「俺のスキルに何か問題あるの?」
「きっと、それをウィンに見てもらうんだ。
お前のスキルが何なのかをな。ウィンは、、、そうだな~友達がいない!人と関わるのを極度に嫌うやつだ。しかし、“杖の宣言”あれには逆らえまい」
三日三晩歩いたり、魔導馬車を乗り継いだりしてたどり着いたのがここ、緑と生き物の溢れる森、ウィーウッド村
くねくねと曲がった太い木に、ふかふかの芝生、色とりどりな花もあちこちに咲いていて、ポカポカと暖かい光が森全体を照らしていた。
待っていましたとばかりにウィーウッド村の上級魔道士であろうローブを被った男2人組が俺達2人を出迎えてくれた。
村の人達も珍しそうに俺達の様子を伺いに来る。
「聞きたいことは色々あるが、まずは」
「「ウィーウッド村へようこそ!!」」
「“杖の宣告”をされるだけあるなこりゃ、」
「近くに来てるのを小一時間前から感じていたよ」
「疲れたろ、ウィンも君の存在を感じてるだろうから今日は宿で休んで行くといいよ」
接客業のプロだろうかトントン拍子で話は進んでいき、気づいたら宿にいた。
「ルイナさん?」
「ディーン、疲れたな」
うし、寝ようといってルイナさんは酒をガブガブ飲み始めた。
あーあ、こりゃ、ダメだ
「うぉらァ、もっともってこいやぁ」
部屋のドアを開け、廊下に向かって叫びまくっていた。ルイナさんは酷く疲れると死ぬまで酒飲んで泥のように寝るからな~
うるさくて今夜は寝られそうにないや。
それにしてもウィーウッドは、いい所だな
バルコニーに出て森の虫達の大合唱を聞きながら木々の間から見える星を眺めていた。
村の景色も美しい、自然と共存すると言う言葉は正しくこの街のためにあると言っても過言ではない。大袈裟ではあるがディーンは素直にそう感じた。
ひときは大きく太い木は中をくり抜いて居住スペースとしている。窓から漏れるあかりはどの家も優しく星空にも見劣らない美しい景色だった。
遠くの少し高い木の上に立派なツリーハウスがあることに気がついた。
ウィンの家だ
直感的にそう思った。
ディーンはこれもスキルだったりするのかな、なんて色々なことを考えながら森の大合唱を子守唄に眠りについた。
部屋では酔っ払ったルイナが踊り狂っていた。
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