遊び詩

秋村遊

名の無き子供達

みんな飛んでいく。

白い蝶とともに。

だけどあの子は違った。

黒い蝶とともに飛んでいた。

綺麗で、

ガラスのようで、

死を纏って飛んでいた。

何も映さない鏡は黒よりも黒で、

落ちていく先の先を写していた。

その瞳の中には蝶が飛んでいて、

白も、黒も、桃色も、血色も、

全て無意味の様で。


芸術品のように輝かしいのか

芸術品のように壊れているのか

芸術品のように取り残されたのか

芸術品のように一人ぼっちなのか


死を纏った蝶は動かず

体温も感じさせず

薄暗くても輝かしく

声にも言葉にも形容し難い表情をし、

無意味を存在で表した。

蝶は散っていく。

花よりも切なく散っていく。

魂が散っていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る